平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -121/156page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

という検証的な実験である。実験方法がある程度決まっているので,その点探究的な要素にやや欠けるが,前述のような工夫や配慮をすれば十分に探究活動として取り上げることができる。

(2) 「探究活動」の進め方について

 実験(測定)の前に時間をとって計画や準備の段階に生徒を参加させたことは,「探究活動」への関心を高めるために,実験の後に時間をとって考察や発表を行わせたことは,理解を深め知識を定着させるために有効であった。このことは生徒の自己評価の中にもみることができる。 (図1)

図1 生徒の自己評価から

(8) どんな結果になるか
どんな結果になるか

(10) 実験の態度は
実験の態度は

(16) 実験によって理解が
実験によって理解が深まったか

 また,事例1でデータ処理にコンピュータを利用したことは,そのこと自体生徒の関心が高かったことと同時に,処理の時間が短縮され,測定のやり直しや,振り子の振幅を大きくしてやってみたらどうかなど,発展的な課題に取り組む余裕も生まれて大変効果的であった。

 生徒が探究活動を行っている間,教師は評価のための情報収集のため,できるだけ全員に何らかの形で接するように努力する必要がある。これが困難なときは,ティームティーチングの形で他の教師の協力を得て行うことも考えられる。

 以下に実験報告書にみられた生徒の感想を原文のままあげておく。

実験報告書にみられた生徒の感想

(3) 「探究活動」の評価について

1) 実験報告書の評価について

 実験報告書の評価点(60点満点)の分布状況を5段階に分けて示すと表9のようになる。

表9 実験報告書の評価点分布
評価点 段階 事例1 事例2
55〜60 5 15人  
47〜54 4 14人 4人
36〜46 3 32人 12人
24〜35 2    
19 1    

 5っの観点の評価がすべてB(おおむね満足)の場合評価点は41点となるので,この結果は,ほぼ全員がおおむね満足できる報告書を作成できたことになる。分布状況も妥当である。報告書はレポート用紙に自由に書かせ,枚数も特に制限しなかったので,データ処理に工夫が感じられるもの,詳細な考察を行っているもの,新たな課題を提示しているものなど,ユニークなものがたくさんみられた。なお生徒には報告書を返却するときに,5段階の評価と各観点の3段階評価をコメントとともに,119ぺ一ジ表7の形で知らせた。

2) 観察による評価について

 探究活動をしている生徒の行動を「関心・意欲・態度」,「技能・表現」,「創意・工夫」の3っの観点から30点満点で評価した結果が表10である。3っの観点がすべてBの場合評価点は21点となるので,分布状況から判断して評価はやや高めに出ている。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。