平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -122/156page
表10 観察による評価点の分布
評価点 事例1 事例2 27〜30 18人 2人 24〜26 25人 8人 21〜23 15人 5人 17〜20 1人 1人 9〜16 2人 このことは,今回の事例ではどちらの場合も,少数の生徒を除いてはほぼ全員が実験に意欲的に取り組んだので,「関心・意欲・態度」の面では差がつけられなかったためである。「技能・表現」,「創意・工夫」の面では,顕著な行動がみられた場合はAの評価で,大部分はBの評価であった。
3) 自己評価について
自己評価の16の質問項目は「関心・意欲・態度」の観点から作成した。各項目の5段階評価の平均値の分布は表11のようになった。
表11 自己評価の平均値の分布
平均値 段階 事例1 事例2 4.5〜5.0 A 10人 3.5〜4.4 B 37人 16人 1.O〜3.4 C 14人 また,事例1について,評価の高かった項目と低かった項目は表12のようであった。
表12 評価の高い項目と低い項目
項 目 平均 高 い
(15) まとめは自分でできたか 4.5 (1) 実験の目的はわかったか 4.4 (14) 後かたづけはやったか 4.4 低 い
(2) 実験の予習はやったか 2.1 (7) 何か工夫したことはあったか 2.5 (3) 予想(見通し)は立てたか 3.4 項目(2),(3)は「探究活動」の準備段階で非常に大切な活動である。教師が指導したつもりになっていても,生徒一人一人のレベルでは十分ではないことを示している。項目(7)については,この実験は方法が比較的確立されていて工夫の余地があまりなかったためと思われる。
以上は生徒の自己評価を平均的にみた結果であるが,自己評価の判断の基準は個々の生徒によって異なるので,指導に当たっては評価内容を個人ごとにみていく必要がある。今回の事例では,生徒は自分をやや厳しく評価する傾向にあったが,比較的正直に回答していることがわかった。
4) 観点別の評価にっいて
実験報告書,観察,自己評価の3っの資料の評価を総合して算出した観点別の評価点及び総合得点の度数分布は図2のようになった。
図2 観点別評価点及び総合得点の分布
事例1(* = 3人) 事例2(* = 1人) 関・意・態 (30点)
27- ************* ****** 24- *** ********* 21- ** * 9- ** 思考・判断 (1O点)
10 ******** **** 7 ************ ******** 3 *** 技能・表現 (25点)
20- ******* * 17- ************ **** 12- * *********** 8- 知識・理解 (1O点)
1O ******** **** 7 ************ ********** 3 ** 創意・工夫 (25点)
20- ****** 17- ************* ********* 12- * ******* 8- 総合得点 (100点)
90- *** 80- ***** ** 70- ********** ********* 60- ** ***** 0- 平均79.4 平均72.5 「関心・意欲・態度」の評価が高いのはどちらの事例の場合もほとんどの生徒が実験に意欲的に取り組んだ結果である。逆に低い生徒が数名いるが,これらに共通しているのは自己評価の点が極端に低いことである。