平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -126/156page

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 この結果をもとに考察すると,算数科においては,問題解決的な学習を大切にし,自力解決能力を高めるために,児童が自分なりの考えで課題を解決する時間などは確保されるものの,学習した内容の定着を図るための時間が十分には確保されていないのが現状である。(前頁問1参照)

 さらに,個別指導では,どうしても下位の児童が中心となってしまい,上位の児童をさらに伸ばすといったすべての児童に対応した指導がなされているとはいえない面も見受けられる。(問2参照)

 また,教師自身,定着を図るための指導の工夫として,それぞれの学級の実態,特に児童の個人差に応じた手だてを講じる必要性を痛感しながらも,時間的な理由等でなかなか実践できず,教科書の練習問題や一般的なプリント問題等に頼ってしまっていることも実態としてあげられる。(問3,4参照)

 しかし,基礎的・基本的な内容の定着をはじめとして,学力の向上が叫ばれている今日,問題解決的な学習を中心としながら,学習した内容の定着を図る時間も十分確保できるようにし,その中で個々の児童の個人差に応じた指導を工夫し,充実させることが大切である。

 そこで,指導の工夫の一っとして,学習した内容の定着を図ることが比較的難しい教材を中心に,児童の個人差に対応できるドリル型の教育用ソフトウェアを開発し,それをもとにしてコンピュータを活用していけば,個々の児童の能力をもっと伸ばすことにつながるのではないかと考えた。

 さらに,それは学習指導法の改善を図るための手だての一っとしても有効であり,まだ積極的に活用されているとはいえない小学校段階での学習指導におけるコンピュータの活用の推進にも役立つことであると考え,この研究を進めることにした。

II 研究内容・方法

1 研究内容

 算数科において,単位時間の終末の段階や単元のまとめの時間に活用し,学習内容の定着を図ることを目的としたドリル型の教育用ソフトウェアを開発し,それを用いて個々の児童が自分のぺ一スに応じて学習を進めることを通して,計算技能等の定着・伸長が図られるようにする。

2 研究方法

(1) コンピュータの活用と役割

 研究を進めるに当たっては,算数科において,教科の本質,さらに授業の本質をふまえ,学習指導におけるコンピュータの効果的な活用を図るために,算数科の指導過程におけるコンピュータ教材の活用とその役割について次のようにとらえた。

導入 シミュレーション機能等を活用した問題事象の提示
・ 教師の提示力を高める
・ 児童の学習意欲・興味・関心を高め,解決への見通しや期待感をもたせる
展開 問題解決のための方法(考え方)の確認
データベース機能等を利用した学習情報の分析や解析
・ 課題に対する児童の様々な反応を引き出す
・ 思考力,創造力,表現力等の育成に役立つ
終末 ドリル型ソフトウェアを活用した反復練習等
・ 理解の促進,基礎的・基本的な内容の定着に役立つ
・ 個に応じた定着の時間の確保に役立つ

 この中で,特に学習した内容の定看にかかわる終末の段階に焦点を当てて,ドリル型の教育用ソフトウェアを開発する。

(2) 算数科における学習過程と開発ソフトウェアの位置付け

 問題解決的な学習を中心にした算数科の学習の展


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