平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -127/156page
開は,(1)の指導過程の中で,次のような学習のスタイルをとる場合が多い。
《導入の段階》
[一斉]…提示問題等をもとにした課題の把握
↓
《展開の段階》
[個別]…自分の考え方を生かした自力解決
↓
[一斉]…発表をもとに課題の解決とその方法
の練り上げ(比較・検討を含む)
↓
《終末の段階》
[個別]…学習内容の定着この中で,特に個別学習による学習内容の定着を図る終末の段階に,本研究における開発ソフトウェアを位置付ける。
なぜなら,単位時間内において,この段階にまでくると,展開の段階での一斉学習により,課題の解決が図られているとはいえ,まだまだ児童の反応には様々なものがあり,学習した内容の定看にもかなりの差が見受けられるからである。
算数科に限らずどの教科においても,基礎的・基本的な内容をしっかりと定着させることが大切である。
しかし,終末の段階におけるプリント等によるドリル的な学習では,教師側からすると,個別学習といえども,どちらかといえば学習の遅れている児童が中心になりがちで,すべての児童の個人差に対応した指導を展開するということにはいたっていない面が見受けられる。
そこで,小学校の段階では,算数嫌いが増えてくると言われている4学年を対象にして,その中でも定着を図ることが難しい単元とその内容等を分析し,つまずく原因をとらえ,それに対処するための手だてを工夫した,個人差に対応したプログラムを構成する。
そして,それをもとにして,それぞれの児童が自分なりのぺ一スで学習を進め,学習の定着を図っていくことができるコース別のドリル型教育用ソフトウェアを開発していきたいと考える。
III 研究の実際
1 ドリル型教育用ソフトウェアの開発
(1) 開発の構想
一般的にドリル型の教育用ソフトウェアの特徴は,どの児童にも同じ問題がでてきて,同じように答えさせるところにある。
これは,指導内容を平等に体験できるという点では,大変良いのであろう。しかし,ドリルの内容がどのレベルの児童に合わせたものなのかで,ドリル学習の時間が,児童にとって難しさのみを感じる時間にもなるし,あるいは反対に退屈な時間ともなってしまうのである。
つまり,学習の遅れている児童にも,学習の理解が速い児童にも,それぞれに応じたドリルであれば,個人差に応じた学習が展開できるのである。
そこで,ドリル学習を有効なものにするために,学習レベル別に活用することのできるドリル型の教育用ソフトウェアを開発することにする。
また,それぞれの児童のつまずきを補うようなドリル学習になれば,個々の児童の定着をさらに促進することになる。
そこで,児童のつまずきを洗い出し,それを補強することができるドリル型の教育用ソフトウェアを開発することにする。
次に,児童が教育用ソフトウヱアを実行するに当たって,楽しく学習でき,操作しやすいものにしていくために,次のような点に留意して,教育用ソフトウェアを開発することにする。
1) 答えの入力などすべての操作は,マウスによって行えるようにする。
2) 計算問題は,一度に一つ,画面に大きく表示する。
3) 解答に対して正誤情報を表示する。
4) 10問の問題が出題されるようにする。
5) 解答の間違い容認回数は3回とする。
6) ヒントを2種類持ち,それぞれの問題に対するヒントが表示できるようにする。
7) 10問終了後に正解数を表示する。