平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -137/156page

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(3) 子供たちが新しい価値を創造してゆける場としての意味を教育活動に持たせ,子供の側に立って,その活動を見守る。

(4) 教師自身の柔軟な考えのもとに,多様な尺度で子供たちを測れる目を持って当たる。

(5) 積極的,肯定的な姿勢で子供へのかかわりを推し進める。

III 研究仮説

 生徒一人一人が持っている二次欲求を把握しその欲求を満たすための教育相談的な指導援助を行っていけば,生徒の不満は解消され,集団における成員としての生活は充実し,自己が発揮されることになるであろう。

IV 前年度までの研究から

1 平成4年度で得た研究の成果

 研究仮説のもとに小規模校少人数(男子4名,女子7名,計11名)の学級を研究対象として,前述の教育相談的指導を実践した。その結果,望ましい指導の在り方について,以下のように明らかにすることができた。

研究で得た結論
1) 教育相談的な指導の対応は,生徒の心を安定させる。

2) 生徒の二次欲求に即した教師の適切な対応は生徒の自己像を否定から肯定的な姿に変えていく。

3) 教育相談的な指導によって,生徒は欲求が満たされたことを自覚し,それは次への行動意欲を生み出す原動力となる。

4) 教師の積極的,肯定的な生徒へのかかわりは生徒の心を健康な状態にし,生徒の性格やものの見方を望ましいものに育てていく。

5) 一人一人が個性を持ち異なる存在であることを教師自身が自覚して指導に当たることによって,生徒は心を開き個のよさを発揮する。

2 平成5年度で得た研究の成果

 小規模校少人数学級のもとで求め得た指導の内容方法を,多人数学級において実施し,日常化した形で実践の効果をあげられるかが課題であった。

研究の実践内容
○ 学習意欲を高める場面を設定し,活動の一つ一つを認め賞賛する生徒へのかかわり。
(生徒の特性や二次欲求をDAT「適応性診断検査(問題傾向早期発見の質問肢検査)」によって押さえ,支援の方法を立てた指導)

○ 承認欲求を満たす望ましい人間関係の醸成。
(「エンカウンター(本音と本音の交流を集団体験する演習)」による実践)

○ 個人面接による個別の指導援助。

教育相談的な指導の日常化を求め,明らかにできた研究の成果
1) DATの活用によって,生徒の内面に迫ることを容易にし生徒理解の端緒となった。多人数学級の生徒一人一人を理解するより日常的な方法として有効である。

2) 生徒一人一人の理解に立って,自らを自己開示し,気軽に声掛けできることが大きな指導の成果となった。

3) エンカウンターは,学級集団の指導に極めてなじむものと考えられる。楽しい友との触れ合いの中で温かい人間関係をつくり,本音を出すことによって自我の成長を促すことになった。

V 研究のねらいと計画

1 本研究で求めるもの

 2年間の研究実践から,教育相談的指導は生徒の二次欲求を満たし,学校生活を充実したものにしていくことが確認できた。

 そこで,本年度は,さらに研究を深め,学校生活をより豊かにしていく視点で指導の在り方を追究し


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