平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -143/156page
K男は,授業態度が悪いとよく注意される生徒であったが,積極的に発表し,すすんで活動した一人であった。「なきがら」という詩の学習の場面で,「なきがら」のことばの意味について, 「泣いたこと」「泣いたから」と答えた。この誤答を教師は感動の心で受け止め, 「作者の悲しみをよくとらえていることばだね,K君はすばらしい感覚を持っているな」 と返して,授業に取り上げている。
A子は,私語の多い子であり,無気力感も感じられる生徒である。しかし,この学習を進めてきた中で変わったのは,生き生きと活動するようになったことである。
2 生徒全体から見える変容
(1) 授業実践を終えての意識に関する調査から
図7 (質問)約1ケ月半の中でどのように変わったか
図8
図9
図10
図11
図7,図8でいえることは,授業実践をとおして国語への関心意欲が高まり,授業がおもしろいと感じた生徒は「やや高い」も含めれば,ほぼ全員に近いものがある。4っの実践内容が指導の中に生きて働いた結果といえる。図9と図11からは,級友を理解しようとする気持ちや級友への信頼感を深めてきていることがわかる。このように自分から他への働きは高まっているが,それに比べ他から認められ,理解されているという気持ちはまだ全体に広がりを見せていない。この図に関連した生徒と教師の感想をあげる。