研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -048/175page
人間関係づくりを行う必要があると考え,指導援助の重点を次の図のように設定して研究を進めることにした。
II 研究主題についての考え方
これまでの研究は,「個」すなわち個人への指導援助の在り方に重きがおかれがちで,「環境」との調整という視点からの指導援助が弱かったように思われる。
そこで,本研究では,「個と環境の調整」という視点から,児童生徒相互の人間関係に焦点を当て,互いのよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりについて,実証的に研究することにした。
1 研究主題のとらえ方
人間関係は,個人と個人の心理関係のはかに,個人と集団,集団と集団の社会的な関係を指すと言われているが,本研究では次のようにとらえることにした。
“人間関係”とは,『個人と級友との心理的な距離』とおさえ,好ましい人間関係とは,心理的な距離が互いに近づき,相互作用が強まってきている関係ととらえた。
また,「一人一人のよさや違いを認め合う人間関係づくり」にせまるためには,まずは互いのよさに気づき,それを認め合うことを繰り返していけば,そのよさの中から違いに気づいてくるようになると考えた。