研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -050/175page

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III 研究の方法

1 指導援助の方法

第1年次の昨年度は,意図的に他者とかかわる機会を設けた。具体的には構成的グループ・エンカウンターの中から自己理解や他者理解を深めることを目指した演習を取り上げて,校種ごとの発達段階を踏まえた表現方法を工夫するなどして指導援助にあたった。その結果,学級成員相互の心理的な距離が近づき,好ましい人間関係づくりが進んだ。

これを踏まえて本年度は,児童生徒一人一人が互いの考えや立場を理解し,よさや遠いを認め合う学級の人間関係づくりを追究する。

(1) 構成的グループ・エンカウンター

第1年次に引き続き,構成的グループ・エンカウンターを中心に指導援助を行うこととし,その内容として他者とのかかわりを深め,他者を受け入れることの促進を目指した演習を取り上げる。

なお,構成的グループ・エンカウンターとは,下記のような6つの集団体験である。

エンカウンターとは,「ホンネとホンネの交流」という意味で,構成法と非構成法がある。本研究で取り上げる構成的グループ・エンカウンターを行うとは,次の6つの体験をすることである。(國分康孝著「エンカウンター」より)
1. 自己覚知(ホンネを知る)
2. 自己開示・感情表現(ホンネを表現する)
3. 自己主張(ホンネを主張する)
4. 他者受容(他者のホンネを受け入れる)
5. 信 頼 感(他者の行動の一貫性を信ずる)
6. 役割遂行(他者とのかかわりをもつ)

(2) 小集団による話し合い

構成的グループ・エンカウンターの実施の後に,級友とさらに深くかかわる場面をつくり,その中で互いのよさへの気づきを明確にさせるために,小集団による話し合いを行う。小集団による話し合いは,児童生徒にとって抵抗が少なく参加しやすく,グループの力(相互に作用し合う力)を用いて級友を受け入れながら,下記のような効果が期待されると考えたからである。

1. 小集団の中で,自由に互いの気持ちを語り合い,級友を温かく受け入れ理解することにより,満足感が得られ信頼関係が育つ。
2. 自分だけでなく,級友も同じ問題を持っているという安心感が生じ 不満やいらだちが緩和され,心の浄化が図られる。
3. 級友の言動を見聞きし理解する体験を通して,自分を客観視し,新たな自分への気づきを深めることができる。
4. 級友を見習ったり,相互に学び合ったりすることにより,自分や級友についての理解を深め人間関係の改善が図られる。
5. 教師への親近感が増し,個別の教育相談(自主来談)への橋渡しにすることができる。

2 研究計画

[第1年次]

(1) 平成7〜8年度の研究計画づくり

 1. これまでの研究の成果と課題の確認

 2. 2年間の研究の方向づけ

(2) 指導援助の在り方についての研究

(3) 研究協力員体制づくり

(4) 協力学級での実践

 1. アンケート調査や担任の観察から,学級の児童生徒を《順応》など3つにグルーピング

 2. 自己理解や他者理解を深める構成的グループ・エンカウンターなどの実践

(5) 1年次の研究のまとめ

[第2年次]

(1) 第1年次の成果と課題の確認

(2) 指導援助の在り方の検討

(3) 研究協力員体制づくり

 1. 小学校・中学校各2学級の選定

 2. 協力員との打ち合わせ

(4) 協力学級での実践


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