研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -054/175page

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 ウ グループを編成する。

 エ 小集団による話し合いを実施する。

 オ 終了後の評価を実施する。

2. グループの編成および人数

 ア 学級における既成のグループ,または,教師が参加者を選定したグループ。

 イ 人数は,6〜8人。

3. 場所と時間,隊形

 ア 場所は,集中しやすい静かな雰囲気の所。

 イ 時間ほ,20分程度とする。

 ウ 隊形は一重のサークルとする。

4. 学級担任の役割

 ア グループづくりと事前の面接(観察),小集団の話し合いの展開。

 イ 自由に話し合える雰囲気づくり。

 ウ 児童生徒の発言をよく聴くこと,その共通点や違いを明確にすること。

 エ ー人の参加者として自分の考えを述べること。

構成的グループ・エンカウンターの「演習の概要」とその具体的実践例,小集団による話し合いの実践例を校種別に紹介する。

(1) 小学校での実践

 1. 構成的グループ・エンカウンター実践の概要

 小学校で実践した演習の概要は,(資料6)のとおりである。

 特に工夫したところは,次のような点である。

○ 各演習のウォーミングアップの活動に体を動かすものを取り入れることで,雰囲気を和らげリラックスさせ,自由にのびのびと自己表現できるようにした。

○ 児童の発表は,全てを肯定的に受け止めるとともに,話し合いの際は「友達の発表を聞いてどう思ったか」という視点で内容を充実させるようにした。

○ 順応の児童に対しては,演習中に言葉かけを多くしたり,意図的に指名したりするなどの指導援助を工夫し,効果的な演習が行えるようにした。

3 実践

(資料6)小学校での演習の概要
演習名 ね ら い 演 習 の 概 要
あなたへのメッセージ<分割> 1. 大きな自分のシルエットの中に,学級全員からのメッセージを書いてもらうことを通して,自分を知る。 各自のシルエットをOHPで映し出し,大きな用紙に書き写す。
シルエットを書いた画用紙に,全員からのメッセージ(良いところ)をもらう。
信頼の目かくし歩き 1. 人を信頼することの難しさと,その心地よさを体験を通して味わい学ぶ。
2. 相手を思いやる心の大切さに気づく。
6〜7人のグループを編成し,それぞれ楕円形をつくる。一人が円の中央に立ち,進む相手を指名した後,目隠しをして歩き出す。周囲の者が声で誘導する。指名した相手にたどりついたら,交替して順次繰り返す。
二人組をつくり,一人が目隠しをし,もう一人が誘導する。言葉以外の方法でコミュニケーションを図り,いろいろな物に触れさせる。時間を区切って交替する。
ブレーンストーミング 1. 自分の考えを自由に発表し,できるだけ多くの考えを出し合う。
2. 友達の考えを尊重し,自分と違った考えから学ぶ。
ペットボトルやスーパーの買い物袋など身近な品物の使い道について考える。考えはどんどん出し合い,出された考えは否定せず全てメモする。出された全ての使い道の中から班ごとに,ベスト5を選んで発表し,その結果を集計して最も人気の高かったアイディアから順位をつける。
ブラインドデート<分割> 1. 自分の特徴を分かりやすく 表現し,自己理解をいっそう深める。
2. 友達への関心を高め,友達のことをさらに詳しく知る。
自分の性格や特技など,自分の特徴を用紙に記入する。全員の記入が済んだら教師が回収する。その後,毎日5〜6人分の用紙を掲示し,解答カードに誰の特徴であるかを記入する。
立 場 か わ れ ば 1. 役割演技を通して,立場が変わるとどんな気持ちになるかを味わう。 3名のグループをつくる。各グループで教師の準備したシナリオの配役を決め,シナリオにそって再現する。同じシナリオで配役を替え,3人の登場人物の気持ちを,それぞれ味わう。

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