研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -056/175page

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[「演習2」の実施場面で]

《A子が,役によって気持ちが違うことを実感できるようにするために》

 (Tは担任,Aは順応のA子を表す)

(A子がジャイアン役の時,役になりきろうと演じているのを見て声をかけた。)
T:A子さん,ジャイアンをやってみてどんな気持ちがするかな。
A:いばれるからいい気持ちがします。
T:なるほどね。ノビタの時は,どんな気持ちになるだろうね。(役を変えて,再度演じる。)
T:A子さん,どうだった。
A:ノビタはいじめられるから,なんかイライラする。ノビタみたいのはいやだなぁ。
T:ジャイアンとノビタでは,やってみて気持ちはどうでした。
A:気持ちがぜんぜん違いました。
T:そう,後から,その気持ちの違うことを発表してもらいたいんだけど,いいかな。
A:(笑顔で)はい。

[「演習2」の振り返り場面で]

《A子に同じ役でも,いろいろな感じ方をする人がいることに気づかせるために》

下のTは担任,Cは児童(順応のA子はそのまま)を表している。

T:3人の登場人物をやってみて,どんな気持ちがしましたか。
C1:ジャイアンは,いばっている。いばれてスカッとした。
A:C1君と同じで,いばれて気持ちがよかった。
C2:ぼくはスネオをやった時,ジャイアンと一緒だとノビタをいじめられるので,少し気持ちがよかった。
T:なるほどね。C2君は,ジャイアンとスネオをやった時の気持ちが似ていたんですね。ノビタをやった時は,A子さんはどうでしたか。
A:ジャイアンの時は,いばれてよかったけどノビタの時は,いじめられて悔しかった。
C3:私は,ジャイアン役をやってノビタをいじめた時も,いやな気持ちになりました。
T:なるほど,いじめた時もいじめられた時もいやな気持ちになったんだね。
A:私は,いばる人の役をやった時,いやな気持ちになるというのは、よくわかりません。
C4:いばったりいじめたりすると,あとからしなければよかったなと思うこともあるかも知れないなぁ。
C3:私はあとからではなく,ノビタ君から本を取り上げようとした時に,いやな気持ちになりました。
A:そうなの。私はいばれて気持ちがよかったけど,違って感じた人もいるんだ。一人一人感じ方が違うんですね。
T:A子さんは,同じ役をやっても,感じる気持ちが違うことに気づいたんですね。
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 ウ 事後の段階

○ 演習後は,振り返り用紙を回収し,「印象に残った友達」の欄に書かれていた児童には,その内容を伝えるようにした。

A子には,「一緒に活動した○○さんと△△君が,『役になった人の気持ちを考えてやっていた』と書いていたよ」と伝えた。

○ 担任には,演習終了後に「指導援助の記録」を記入してもらい,事後の反省の資料として活用した。

 3. 小集団による話し合いの実践例

 小集団による話し合いの実践例として,演習『立場かわれば』終了後の話し合いの様子を紹介する。

実践にあたっては,児童が自分たちで話し合いを進めるのは難しいので,教師が進行役を行うことにした。


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