研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -057/175page
: T:昨日の『立場かわれば』でやったように,友達がいばっているなと感じたときがありますか。 C1:自分が何かできるからといって,いばる人がいます。 C2:ぼく,バスケットの練習の時,自分ができたから「こうやるんだよ」と少しいばって言ったことがあるな。 T:そう,C2君は,自分のことを振り返ることができたんだね。 A:私も音楽の合奏練習の時,「そうじゃないよ,こうやるんだよ」といばって言ったことがあるかもしれない。 T:A子さんも自分を振り返ることができて,すばらしいね。 (2) 中学校での実践
1. 構成的グループ・エンカウンター実践の概要
中学校で実践した演習の概要は,(資料8)のとおりである。
特に工夫したところは,次のような点である。
○ 最も周りを意識した行動がみられる時期であることから,教師自身が自己開示して生徒の抵抗を払拭できるように努めた。
○ 演習前後の変容を見るために,意図的に抽出生徒を指名し,できるだけ順応生徒に活躍の場を与えた。
(資料8)中学校での演習の概要 演 習 名 ね ら い 演 習 の 概 要 私ってどんな人? 1. 自分はどんな人かを再認識し,自己理解をいっそう深める。
2. 級友への関心を高め,お互いを理解するきっかけとする。好きなテレビ番組や趣味・特技など自分の好みや考え,自分をどうとらえているかなどを質問する用紙に記入する。全員記入が済んだら,教師が回収し,その中からいくつかを発表し,その人が誰であるかを当てる。 今週のスポットライト<分割> 1. 級友から注目されたり,認められる体験を通して,自分のよさを再確認する。
2. 級友への関心を高め,人を肯定的にみる目とそれを素直に受け入れる態度を養う。生活班の中から,その週にスポットを当てる班を決め, その班員の言動を観察しておく。
班員の中から,任意に選んだ2名の生徒のすばらしい点を用紙に記入する。回収して整理した後,教師が発表して掲示する。(班員一人につき,10名前後からのコメントが掲示される。)目かくしジョギング 1. 相手を思いやる心の大切さに気づく。
2. 人を信頼することの難しさとその心地よさを体験的に味わう。4つのグループを編成し,それぞれに楕円形をつくる。一人が円の中央に立ち,相手を指名した後タオルで目隠しをし,その相手に向かって歩いていく。周りの者は,声で誘導する。たどりついたら,指名された生徒が中央に立って他の生徒を指名し,順次これを繰り返す。
2人組をつくり,一人が目隠しをし,もう一人は誘導して歩く。言葉以外の方法でコミュニケーションを図り,いろいろなものに触れさせる。時間を区切って交替する。立 場 か わ れ ば 1. 役割演技を通して,相手の身になって接することの大切さを体感する。 4名のグループをつくり,各グループごとに事前に4名がつくったシナリオを読み合い,その中から一つを選ぶ。シナリオの配役を決め,シナリオにそって再現する。同じシナリオで配役を替え,何回か繰り返す。演習で感じたことをグループ内で話し合う。