研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -059/175page

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みる。

 1. 事前の段階

 ア グループの編成

 構成的グループ・エンカウンターの演習でつくったグループを生かして,一班7〜8名のグループとし,順応の生徒が偏らないように組み合わせた。

 イ 回数・時間の設定と場所の確保

 回数は2〜3回とし,時間は1回20〜30分で行うことにした。

 また,場所は落ち着いた雰囲気で話し合いを進めるため,静かで人通りの少ない特別教室を使うことにした。

 ウ 話し合いのテーマについて

 話し合いのテーマについては,構成的グループ・エンカウンターの演習に関することから入り,その後生徒の希望する内容で話し合うことにした。

 2. 話し合いの段階

 話し合いの段階では,担任は適応の生徒の自主的な発言を促すように努めるとともに,参加した生徒が順応の生徒へ関心が向くように働きかけた。

 また,日常生活の中で気づいた友達のよさ(構成的グループ・エンカウンターの演習中も含む)を適宜取り挙げ,それぞれの生徒のまだ知られていないよい面を捉えることができるよう配慮した。

 中学校の順応C男のグループの,2回目の話し合いのやりとりは,次のようであった。

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T:この前やった「立場かわれば」では,みんなすばらしいことを書いていたんだけど,S4さんは,どんなことを感じたかな。
S4:とても楽しかった。それぞれの役をするときに,それぞれの人の思っている気持ちが分かるような気がしました。
S1:私も同じように感じました。そして,怒られる人の立場も嫌だけど,怒る人の立場もとても嫌でした。
T:なるはど,それぞれの役で,気持ちが違っていたということかな。印象に残った友達の欄にS1さんを挙げ,「発表した感想がとてもよかった」と書いた人がいましたよ。
S1:えっ,本当ですか。
S4:あと,私たちのグループの人は,皆それぞれの役になりきっていたんだけど,特にS5君はすごいなと思いました。
T:そういえばS4さんは,S5君を印象に残った友達として挙げていましたね。S5君,今の話を聞いてどんな気持ちがするかな。
S5:なんか照れくさい気がするけど・・・。でも,気持ちがいいですね。ばくは,この前の演習で,グループは違うけど,C男君が「S3さんの気持ちがわかるような気がします」と発表したことが,印象に残っています。友達のことまで考えているところが,すごいなと思いました。
T:なるほど,S5君もそうですか。この前の振り返り用紙では,印象に残った友達欄に,同じような理由でC男君を挙げていた人が4人いましたね。
C:4人もいたんですか?意外だな。友達って気にしていないようで,結構よく見ているのかな。
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T:今日は,時間になってしまったので,これで終わりにしたいと思います。次の話し合いの時に,話してみたいことはないかな?
S2:何でもいいんですか?
T:うん,どんなことでもいいよ。
S2:だったら将来のことが心配なので,みんなはどんなふうに思っているのか,話し合ってみたいのですが・・・。
T:なるはど,進路のことが気にかかっているということだね。これは,他の人も気になるところだと思うんだけど,みんなはどうかな。
S1:私も,一度話したいなと思っていたんだけど,なかなか機会がなかったので話せない

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