研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -061/175page

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た友達」の欄には,自分のよいところを書いてくれた友達を挙げている。本年度は,「K男君は,転校してきたばかりで,話したこともないのに書いてくれた」「Y男君のよいところをみつけるのにくろうした」などの記述があった。

(資料11)振り返り用紙の比較
(資料11)振り返り用紙の比較

転校してきたばかりの友達に,自分のいいところを見つけてもらって嬉しかった気持ちや,自分も本気になって友達のよいところを見つけようとした姿がうかがえる。

また,『信頼の目かくし歩き』の演習では,一人で歩く時は不安でなかなか足が動かなかったが,人組で誘導してもらった時は,安心して動いていた。その時の気持ちの変化が,振り返り用紙に記述されている。(資料12)

(資料12)『信頼の目かくし歩き』の振り返り用紙
(資料12)『信頼の目かくし歩き』の振り返り用紙

A子は,学級の友達から「何でもできる人」「しっかりした人」と思われており,自分自身もそうでなければならないと思っている面が見られる。しかし,この演習を通して「暗くて怖かった」と自分の気持ちを素直に表現でき,自分の弱い部分を見せても友達は受け入れてくれることを感じることができたようである。

 2. 小集団の話し合いを通して

演習『信頼の目かくし歩き』終了後に,1回目の話し合いを実施した。その中で,順応のF男が「目隠ししている時に,体育館の壁にぶつかってしまったので,どうしてぶつからないように連れて歩いてくれないんだろうと思いました。だから,ぼくも○○君を連れて歩く時に,わざと走ってみたり,手をちょっと離したりしてしまいました」と発言した。

演習の振り返りの時に,自分の気持ちを素直に表現できたA子は,話し合いでも「私もF男君みたいに壁にぶつかったら,とてもこわいと思う。だから,もし私もこわい思いをさせられたら,相手にも少しこわい思いをさせようという気持ちになるかも知れないなぁ」と,自分のありのままの気持ちを出していた。

すると,適応のT子が「F男君やA子さんのような気持ちになることもあるけど,本当にやってしまったら後悔すると思うなぁ」と発言した。T子の発言を聞いたA子は,少し考え込んでしまった。日ごろは,自分と違う考えを否定することが多いが,いろいろな考え方があることに気づいた様子であった。

また,演習『立場かわれば』終了後の3回目の話し合いでは,自分自身を振り返り,ありのままの自分を受け入れようとする様子がうかがえた。

3回目の話し合い


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