研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -065/175page
を受け入れているので,そのままの自分を出せるようになってきた。このことにより,笑顔で生活することが多くなり,今まで以上に活気が出てきた。
(4) C男の学級(中学校2年S組)
1. 構成的グループ・エンカウンターを通して
次の表(資料19)は,振り返り用紙の「印象に残った友達」の欄に記載された人数を学級全体でまとめたものである。
回を重ねるごとに記入された実人数が増えてきている。このことから,演習を通して特定の級友だけでなく,多くの級友へ目を向けるようになってきたことがうかがえる。
(資料19)振り返り用紙の「印象に残った友達」の集計 回 記入された実人数 記入された延人数 男 女 計 男 女 計 1 4 3 7 23 13 36 3 7 6 13 15 9 24 4 11 11 22 21 18 39 5 18 7 25 27 9 36 2. 小集団での話し合いから
一人一人の考えや感じ方が違うこと,そしてそのどれもがその人なりのものであることを,受け止めることができるようになってきた。
また,順応の生徒は,自分に対して自信を持ちはじめ,自主的な発言がみられるようになってきた。
3. 事前・事後のアンケート結果から
学級生活のアンケート結果では,6.,8.,10.の3項目でプラスの変容が顕著であった。6.は自分の考えで行動できるかについて,8.は学級への所属感について質問した項目であり,10.は本年度の研究でねらった「よさや違いを受け入れること」を質問した項目である。
このことから,自分の考えをもたずに他に任せてしまうことが少なくなり,学級への関心が高まってきたことがわかる。また,それぞれの生徒のよさや違いを受け入れて活動しようとしている様子がうかがえる。
VI 研究の成果
本研究での実践の結果,児童生徒は次のように変容し,目指す児童生徒の姿に近づいたことが裏づけられる。
○ 順応の児童生徒は,ありのままの自分に対する自信をもつようになり,級友への関心を高め,適応や不適応の児童生徒へ働きかけるようになった。
○ 児童生徒は,級友のよさや自分との違いに気づき,学級への所属感を高め,自分から環境に働きかけるようになった。また,級友のいろいろな考えを受け入れながら,自分らしさを出して活動するようになり,学級生活に活気が出てきた。
これらの児童生徒の変容から,本研究の成果として次のことがあげられる。
1 研究主題にせまる考え方
研究主題にせまるため,私たちは,互いのよさを認め合う人間関係づくりを主眼に実践を積み重ねた。そうしていけば,互いのよさを認め合う中に,違いがあることに児童生徒が気づくと考えたからである。具体的には,級友とのかかわりを通して,自分や級友のよさに気づき,「ありのままの自分でいい」と実感できる場と機会を意図的に設定して指導援助にあたってきた。
その結果,互いのよさの中から自分との違いに気づき,それを認め合うことができるようになってきた。このことから,互いのよさを認め合う人間関係づくりを主眼に研究を進めたことは,主題にせまる考え方として妥当であったと思われる。
2 順応児童生徒中心の指導援助
本研究では,学級の児童生徒全員を3つにグルー