研究紀要第108号 「一人一人のよさや違いを認め合う学級の人間関係づくりに関する研究」 -066/175page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

ピングし,その中から順応の児童生徒を中心に指導援助を展開してきた。

この結果,順応の児童生徒の自己理解が深まり,自分のよさに気づいて「ありのままの自分でいい」と実感できるようになり,級友へ積極的に働きかけることが多くなった。この順応児童生徒の変容が,学級の人間関係を大きく変えることにつながり,学級が活性化されたことから,順応の児童生徒中心の指導援助が研究主題にせまる上で極めて有効であったと考えられる。

3 構成的グループ・エンカウンターの効果的な活用

本研究では,次のような点に工夫して,構成的グループ・エンカウンターを取り入れた。

1. 校種ごとの発達段階を踏まえて,言語的・非言語的な表現方法を工夫する。

2. 授業時間のほかに短時間でできる内容のものを継続して実施する。

3. 振り返り用紙に『印象に残った友達』の欄を設けるなど,級友の感想や考えを意識させながら振り返りを実施する。

この中でも,特に2.については,人間関係を耕し授業時間での演習の効果を高めることができ,研究主題にせまる上で有効であった。

4 小集団での話し合いの効果的な活用

構成的グループ・エンカウンターでの成果を生かして,グループづくりやテーマづくりを行い,互いのよさへの気づきが図れるようにして小集団の話し合いを実施した。このことは,演習によって互いの心理的な距離が近づいたために,グループの力(相互に作用し合う力)を効果的に引き出すことができ,研究主題にせまる上で有効であった。

なお,小学校で実施する場合には,ややもすると自分の気持ちを表現するだけで,級友に目を向けることが難しいことがあるので,各学年の発達段階を考慮した展開の仕方を工夫する必要がある。

本研究では,主として学級活動と道徳の時間を活用して指導援助にあたってきた。今後は,この成果を各教科の授業をはじめとする他の教育活動に生かしていきたい。

<研究協力員>

[平成8年度]
 小学校  佐久間悦子  蛭川 厚子
 中学校  菅原 克章  中潟 宏昭
[平成7年度]
 小学校  佐久間悦子  佐藤 陽子
 中学校  菅原 克章  中潟 宏昭
 高等学校  諏佐 一夫  本田 伸良

<参考文献>

○ エンカウンター −心とこころのふれあい− 國分康孝著(誠信書房)
○ 構成的グループ・エンカウンター 國分康孝編(誠信書房)
○ 教師と生徒の人間づくり −エクササイズ実践記録集(第1〜4集)− 國分康孝監修(レキ々社)
○ 新版学級経営実践マニュアル −教室はよみがえる− 手塚郁恵・刀根良典著(小学館)
○ だれもが身につけたい生徒指導・学校教育相談の技法 全国教育研究所連盟編(ぎょうせい)
○ 学校教育相談・中級講座 小泉英二編著(学事出版)
○ 月刊学校教育相談【1990年1月号】 学校教育相談研究所編集(学事出版)
○ いじめと不登校の社会学 −集団状況と同一化意識−  竹川郁雄著(法律文化社)
○ 「学校適応への援助と指導」 平成3年度北九州市立教育センター研究紀要
○ 「学校生活に適応できる児童生徒の育成と援助」 平成4年度前橋市教育研究所研究紀要
○ 「望ましい学級集団の形成を図る環境条件の改善に関する研究 −児童生徒一人一人を生かす人的環境の在り方を中心に−」 平成3年度岩手県立総合教育センター研究紀要

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。