平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -068/175page
II 研究内容・方法
1 研究の内容
(1)ディベート学習の工夫
1. ディベート学習の単元への位置付けと流れ
2. ディベート学習におけるテーマの設定
3. ディベート学習におけるチームの編成
4. ディベート・マッチにおける勝敗
(2)ディベート学習の効果
1. 機械的なチーム編成の効果
2. ディベート・マッチにおける勝欺設定の効果
3. ディベート学習による知識・理解の定着
(3)ディベート学習における具体的な配慮事項
1. アフターディベートの重要性
2. 教師のかかわり方
3. 時間設定の工夫
4. 児童の議論への意識
2 研究方法
(1)ディベート学習についての文献研究をする。
(2)ディベート学習の効果について,授業実践とアンケートにより明らかにする。
(3)ディベート学習の具体的な配慮事項を,授業実践とアンケートにより明らかにする。
III 研究の実際
ディベートの取り入れやすさを考えて,本研究では,小学校6年社会科で研究を進めている。
1 ディベート学習の工夫
(1)ディベート学習の単元への位置づけと流れ
ディベート学習を単元へ位置づける場合,教科の特質やねらいによって様々な工夫ができる。本研究では,児童の課題追究の活動を重視するという観点から,次のような位置付けをした。
単元の流れ ディベート学習の活動 時 間 学習課題を見つける 1 テーマを設定する。 1〜2 2 チームを編成する。 課題について追究する 3 自分たちの論点を明確にするとともに相手の論点を予想する。 4〜6 4 論点に沿って資料等の収集と整理をする。 5 資料等をもとに自分たちの論を組み立てる。 課題について検証する 6 ディベート・マッチを行う。 1〜2 まとめる 7 ディベート後の自分の考えについて話し合う。 1〜2 このように,ディベート学習の流れを一単元全体に位置付けることにより,児童は,
1. 見通しをもって学習活動が行える
2. それぞれの活動で,自分の得意な能力を発揮できる
3. 課題追究の意欲が維持できる
と考えた。問題点としては,
1. 時間数の短い単元では行えない
2. 単元を通して追究させるテーマ設定が難しい
などがあげられる。
(2)ディベート学習におけるテーマ設定
ディベートのテーマを設定する場合,2つの方法が考えられる。1つは,児童が考え出したテーマを設定する方法で,もう1つは,教師が考えたテーマを児童に提示する方法である。児童の学習意欲を高めるのであれば前者の方が効果的であろうが,学習の方向性をしっかり持たせるのであれば後者の方が