平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -069/175page
効果的であろう。どちらも一長一短がある。
本研究では,教師の考えるテーマに結びつきそうな事例を児童に提示し,児童の話し合い活動から,テーマにそった疑問が出てくるような授業を構想した。
【授業1】
単元名「みんなの願いを実現する政治」(第6学年4/11時間)
学 習 活 動 ○ 消費税の問題から,政治と自分たちの生活との関連を考える。(消費税5%実施の問題) ○ 政治の力で,自分たちの生活がもっとよくなる方法を考える。 ○ 考えた方法を出し合い,実現可能かどうか話し合う。 ○ 政治が自分たちの願いをかなえているかどうかを話し合う。 ○ 学習課題を設定する。
政治は,私たちの願いをかなえているか 【授業2】
単元名「世界の平和と日本の役割」(第6学年1・2/9時間)
学 習 活 動 ○ 前単元で学習したアジア諸国について,知っていることを話し合う。(経済的に貧しい国が多い) ○ 阪神大震災関連の新聞記事から,日本とアジア諸国との意外なつながりに関心を持つ。(アジア諸国から義援金や物資の援助があった) ○ 「阪神大震災における海外からの援助は必要であるか。」について話し合う。 ○ ODAに関する資料から,海外援助の在り方や国連の働きについて話し合う。(戦略的な利害と海外援助) ○ 学習課題を設定する。
1 日本は,海外援助を含め,進めるべきか
2 国連は,本当に世界の平和に役立っているかなお,ディベート・マッチの際の議論をうまく噛み合うようにさせるために,テーマ決定後,テーマの中で用いている言葉の概念規定をしっかり行っておく必要がある。
(3)ディベート学習におけるチーム編成
ディベート学習で,それぞれのチームを編成する場合,2つの問題がある。1つは「数」の問題,もう1つは「立場」の問題である。
1. チームの「数」の問題
チームの数は1人,2人,…と,いろいろ考えられるが,実際には,教室の児童の数に応じて柔軟に決めるのがよいと考える。【授業1】では,児童数が20人だったので,1チーム5人ずつとし,残り10人を審判と司会とに割りふった。【授業2】では,児童数が30人だったので,1チーム7人と8人とし,残り15人を審判と司会とに割りふった。1チームの人数が多すぎると,ディベート・マッチの際,発言をしない児童が出てくる。逆に少なすぎると,資料収集等の調査活動での一人一人の負担が多すぎることになる。大体,4〜6人が適当な数と考える。
2. チーム編成上の「立場」の問題
ディベート学習のチーム編成について,特に小学校では,児童の考えと同じ立場でチームを編成するという方法がとられることが多い。本研究では,児童の考えに関係なく,賛成・反対の立場を機械的に割りふるというチーム編成を行うようにした。なぜなら,そうすることにより,
・ チーム内の意見が活性化する
・ より理性的に論を組み立てることができる
・ より広いものの見方・考え方ができる