平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -072/175page

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うテーマで,ディベートのやり方を指導した。その後,ODAの資料提示をして,ディベートのテーマ2つを設定し,追究活動に入っていった。

次の写真は,【授業1】で児童たちが課題追究をしている場面である。

【授業1】で児童たちが課題追究をしている場面

【授業1】,【授業2】どちらの授業も,チームの役割分担に基づいて,教科書,資料集,図書室の資料,新聞記事,事典等を調べるなど,一人一人の児童が意欲的に課題追究をする姿が見られた。また,個人の調査をもとにグループの意見をまとめる段階では,ディベート・マッチのプレゼンテーション用として,自分たちの考えの裏づけとなる資料をまとめる姿も見られた。

これらの追究活動の後,ディベート・マッチの授業を行った。【授業1】,【授業2】ともに,活発な児童の議論がなされたが,特に,【授業2】では次のような児童の議論が行われた。

テーマ 「国連は,世界平和に役立っている」

※ ビデオをもとに児童の発言を要約,整理した。実際には,発言に詰まったりする場面も見られたが,意見の趣旨を忠実に再現したものである。

反対派: 第二次世界大戦が終わってからも世界の14カ所で戦争が起こっていて,長いところでは,ベトナム戦争のように15年間も続いているので,国連は世界平和に役立っていないと思います。さらに,大戦後,新しい兵器が作られていることをみても世界平和には役立っていないと思います。
賛成派: 国連は,世界の平和と国と国との争い事を話し合いによって解決したり,全ての独立国が平等の立場で発展することを進めたり経済・社会・文化などいろいろな問題を解決し,人権と自由を尊重していく目的でできたので,国連は重要な働きをしていると思います。
反対派: 国連の憲章には,今発表したようなことが書いてありますが,実際には,いろいろな戦争が起きていたり,貧富の差があり子どもたちが飢えているという事実があるので国連は,世界平和に役立っていないと思います。
反対派: 世界には次のような問題があります。アフリカでは食料をもらうために大勢の人々が並んだり,飢えに苦しむ子どもたちがいます。また,国際自然保護連合の報告によれば,ブラジルを始め多くの国々で自然破壊が進んでいるそうです。これでは国連は世界平和に役立っているとは言えません。
賛成派: 国連には国際司法裁判所があり,国と国との問に問題が起こった場合,ここで裁判をするので大丈夫だと思います。

児童の議論

反対派: 世界各地で紛争が起きています。たとえば,イラン・イラク戦争,ベトナム戦争などです。これに対して,国連は役に立っていないと思います。
賛成派: 問題があった場合安全保障理事会で話し合いが行われるので大丈夫だと思います。
反対派: その安全保障理事会があっても,戦争が起こっているのだから役に立っていないと

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