平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -073/175page
思います。 賛成派: 戦争がまだたくさん起きていても,なるべく戦争が起きないように国連は努力しています。それでも反対派の人たちは,戦争が起きていると言いますが国連は国連なりに話し合いで解決しようと努力しているので,国連は国連なりに世界平和に役立っています。 小学6年生でも,十分な下調べやチーム内でのディスカッションの時間を取れば,テーマが多少難しくても自分たちの問題としてとらえ,意見として表現できることが分かる。
2 ディベート学習の効果
(1)機械的なチーム編成の効果
チームを児童の考えに関係なく形式的に編成した場合,チーム内に,同じ考えの人や違う考えの人が混在するということになる。これによって,
1. チーム内の意見が活性化する
2. より広いものの見方や考え方ができる
と考え,この方法で授業を行った。事後アンケート結果は,次のようになった。
【1.に関して】
次のグラフは,授業後,児童に,「あなたは,グループ内での話し合いで意見を言えましたか」と質問したものである。
約7〜8割の児童が,「意見を言えた」と回答しており,活発な話し合いがなされたことが分かる。ここで注目したいのは,「意見が言えた」児童の割合が,「自分の気持ちと違う立場」のはうが若干多くなっていることである。これは,チームで自分たちの立論をする際,相手はどういう理論を立ててくるかを予想しながら話し合いが進められるためであろうと考えられる。つまり,同じ考えの児童ばかりでチームを編成するより,違う考えを持った児童も含めたチーム編成をしたはうが,より活発な話し合いが行われる可能性がある。
【2.に関して】
このグラフは,「ディベート後あなたの考えは変わりましたか」という質問に対する児童の回答である。「自分の考えと違う立場」の児童は,考えが変わりやすいのに対して,「自分の考えと同じ立場」の児童は,ほとんど考えが変わらないという結果が出た。
考えが変わった理由としては,「資料を調べていくうちに変わった」や「相手の話を聞いてそう思ったから」が多かった。これに対し,考えが変わらなかった理由としては,「自分の考えだから」が圧倒的に多かった。これを見ると,「自分の考えと同じ立場」でディベートを行わせた場合,児童は自分の考えに固執する傾向があるのかもしれない。また,「自分の考えとは違う立場」でディベートを行わせると,児童は,より柔軟な思考がしやすいとも考えられる。
これらの結果から,「より広いものの見方や考え方を育成する」ためには,チーム編成を機械的に行うほうがむしろ効果的であると言えるように思うがいかがであろうか。
(2)ディベート・マッチにおける勝敗設定の効果
本研究では,児童にめあてを持たせ,意欲的に課題追究に取り組ませるため,ディベート・マッチに勝敗をつける授業を行った。先に述べたように,児童は,チームの勝利のために,意欲的に調べ活動を行ったり,協力してディベート・マッチのための資