平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -074/175page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

料作成などを行った。

次のグラフは,勝敗をつけたことに対し児童はどのように考えたかについてアンケートを実施した結果である。

勝敗をつけることは

これを見ると,児童は,勝敗をつけることに対しかなり好意的であるということが分かる。その理由の記述を見ると,

 1. 自分の考えがまとめられる

 2. 考え直すことができる

 3. 互いの意見が分かり合える

 4. 次への意欲がわく

 5. ゲームだから

などがあげられている。つまり,児童の意識の中では,勝敗をつけることにより,それまでの学習活動への区切りがつけられるとともに,学習成果を振り返ることにもなっているようである。

今回の授業を通して,小学校の高学年の児童は,勝敗に対して理性的な受け止め方ができることが分かった。

(3)ディベート学習による知識・理解の定着

ディベート学習を実施した場合,気になることの1つに,児童の知識・理解の定着はどうなるかということがある。このことについて,【授業2】で,児童の「政治」に対する知識・理解とイメージについて,学習の事前と事後の調査を行った。

 1. 「政治」に対する事前・事後テストの結果

事前正答率 事後正答率
 ・選挙の意味・・・・・・・・・・ 79% 89%
 ・国会の役割・・・・・・・・・・ 42% 68%
 ・内閣の役割・・・・・・・・・・  0% 53%
 ・裁判所の役割・・・・・・・・ 58% 74%
 ・国民主権の意味・・・・・・ 16% 63%

 2. 他の単元での知識・理解の定着のようすの比較

 ・明治の新しい世の中・・・・・・・・・・・・・・73%

 ・二つの戟争と人々のくらし・・・・・・・・67%

 ○ みんなの願いを実現する政治・・・・77%

 3. 「政治」に対する児童のイメージ

(授業前)

(授業前)

(授業後)

(授業後)

学習前と学習後では,学習後のほうが知識が増えるのは当たり前かもしれないが,ここで注目したいのは,3.の結果である。この調査は,ちょうど厚生省の役人による不正が新聞やテレビで報道されていたときに行った。この児童は,その影響を受けて政治に対して不信感を持っていたことが事前のイメージ調査から分かる。しかし,学習後は,政治の良い面や悪い面を自分なりに理解し,建設的な意見を持つようになったことが分かる。このような傾向は,


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。