平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -082/175page
4. ものが水にとけている量は,水の温度やとけるものによって違うこと,また,この性質を利用して,とけているものを取り出すことができることを理解する。
5 指導計画(総時数15時間)
次 時 学 習 活 動 1 1 ○ 食塩の粒を虫めがねで観察し,水にとかすと粒がどうなるか調べる。
食塩が水にとける様子ととけた液を観察する。
○ 水溶液について定義する。1 ○ 食塩水について,疑問に思うこと,調べてみたいことを話し合う。 4 ○ 食塩は水にどれくらいとけるか,50cm 3 と100cm 3 の水にとける量を調べる。(実験1)
○ 水にとけた食塩を取り出すことができるか,食塩水を蒸発させて調べる。(実験2)
○ 食塩は水にとけると重さはどうなるか,全体の重さを調べる。(実験3)1 ○ 実験結果から、食塩のとけかたについてまとめる。 2 3 ○ ホウ酸は食塩と同じようなとけかたをするか比べてみる。
・ 50cm 3 と100cm 3 の水にとける量はどうか。
・ 蒸発させると,ホウ酸は出てくるか。
・ 水にとかす前ととかした後の全体の重さはどうなるか。3 2 ○ ホウ酸は食塩のように水に多くとけないことから,とかす方法について考える。
○ 水の温度を上げて,ホウ酸と食塩がそれぞれどのくらいとけるようになるかを調べて比較する。1 ○ ホウ酸が出てきた液の温度を上げたり,ろ過した液を冷やしたりするとどうなるかを考え,試してみる。 1 ○ 食塩とホウ酸の水温の違いによるとけ方を整理し,まとめる。 1 ○ 学習のまとめをする。 総時数15時間で行い,検証授業1は3時間目,検証授業2は12時間目に行った。
6 検証授業
(1)検証の視点
1. 支援要求傾向を調査し,支援要求の高い項目や自ら考える場を指導過程に位置づけ支援したことで,児童の支援要求傾向がどのように変容したのかを調べる。
2. 支援内容や思考を事象の認識段階からとらえた思考活動を位置付け,指導過程を明確にした授業をすることで,関心,意欲,思考と事後テスト成績がどのような関係にあるのかを調べる。
3. 個別指導のための「自分の考えを深めるカード」に朱記による支援を継続したことにより,考える意欲と自信が高まったことを調べる。
4. 思考にかかわるテストを行い,情意面の高まりが基礎学力の向上につながったかを確かめる。
(2)指導過程
ここでは,第1次,第3時の検証授業1の指導過程の内容を述べる。
<導入段階>
支援要求傾向の支援内容「自分の課題を立てる」「自分の予想を立てる」「実験計画を立てる」ことをノートに書くように指導過程に位置付けた。全体の課題から,自分の課題を持たせた。また,「どうすれば食塩をとかせるのか」の因果関係をつかむための課題を与え,その解決のための予想,実験計画を立てさせる取り組ませるようにした。
<展開段階>
各班の課題にそって実験を進めるとともに,「どうすれば食塩をとかせるか」の観察・実験に取り組ませた。児童の活動と教師の支援の実際を述べる。
よくかき混ぜているがとけない。温めながらかき混ぜているがとけない。 C:温めると水が蒸発して食塩が出てくるから温めてもとけない。 T:なるはどね。