平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -096/175page

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応できる準備をする必要があると考える。

各校の指導計画を見ると,指導計画(活動)の複線化に配慮しているものは少ない。しかし,子供の思いや願いを生かすため,指導計画とは違った活動を取り上げていくことがよく見られる。

次のグラフは昨年度,生活科講座を受講した教師60人に対するアンケートの結果である。

学校独自の指導計画と考えていても,改善したいという傾向が強いことがわかる。これは,計画が学級の実態と違っていたり,教師の教材観の違いに起因していると考えられる。

学校独自の指導計画である
学校独自の指導計画である

現在のままの指導計画でよい
現在のままの指導計画でよい

活動の変更が,単元のねらいとするところから外れていなければよいが,無計画であったり,突然の場合,ねらいから外れやすい.変更する場合には,学習指導要領の内容や他の単元との関連を踏まえたものでなければならない。複線化した指導計画が工夫されていれば,子供の思いや願いに対応することば容易であり,ねらいから外れることは少ない。

前ページに1年「冬を楽しく」単元の活動の複線化例を示した。お正月の遊びをした後,子ども達の正月遊びへの思いがA,B,Cそれぞれ違った活動へ膨らんでいくことに配慮したものである。

しかし,全ての単元を複線化することば容易ではない。複線化することが考えやすい単元で,しかも単元のねらいから外れないような活動において複線化した指導計画の作成を進めるべきであろう。

実際に複線型の授業を行う場合には,一人の教師で進めていくには困難が予想され,TT等の研究を進めていくことが求められる。

IV 研究のまとめと今後の課題

1 研究のまとめ

今回調査した生活科指導計画は,県内各地区大・中・小規模校65校のものである。調査から,平成7年度の福島県内小学校の生活科指導計画の現状の一端を伺うことができた。今回の調査研究は,あくまで指導計画上に表れたことを読み取ったものであり,指導計画上から読み取れないものがあることに留意しながら,今回の調査結果から今後の指導計画改善に向けての視点となることを記して,研究のまとめとしたい。

(1)地域や学校,児童の実態は絶えず変化することを念頭に,指導計画の改善に努めること。

(2)各学校で設定した単元の活動内容と学習指導要領「生活」の内容との関連を示す「単元の配列と内容との関連表」などを指導計画に加えること。

(3)活動の連続性や発展性,選択性に配慮した指導計画を工夫する必要があること。

2 今後の課題

(1)第2学年の単元構成(指導要領内容と活動内容との関連)の調査・分析を継続する。

(2)第1学年と第2学年の活動内容の関連や発展についての研究を進める。

(3)活動の連続性,発展性との関係から生活科と他教科,他領域との合科的な指導や関連の研究を進める。

【参考文献等】

・文部省 小学校学習指導要領 生活 平成元年

・文部省 小学校生活指導資料 「指導計画の作成と学習指導」 平成2年

・荒井孝他編著 「生活科単元研究のポイント」(ぎょうせい)平成4年

・森隆夫監修 鴫野道弘編著 「生活科情報事典」(ぎょうせい)平成5年

・中野重人編著 「小学校教育課程講座 生活」(ぎょうせい)平成元年

・県内小学校生活科指導計画 平成7年度


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