平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -108/175page
つ生徒が多い。そこで,本研究ではコミュニケーション能力の育成を目指した「書くこと」の指導のあり方について考えたい。
II 研究の構想
この研究は,
1 中学校における「書くこと」の指導の現状をつかむ。 2 「書くこと」の指導の最近の流れを書籍や文献等を通して分析し,中学校に適した指導法をさぐる。 3 検証授業を通して考案した指導法の効果を検証する。 という3つの柱を立て,生徒の書く力を育てる指導の在り方を探っていくものである。
III 研究の内容
1 「書くこと」の指導の現状
次のグラフは,平成8年度の基本研修の受講生 注1 削を対象に行った,日常の授業における「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4領域の指導に関するアンケートの抜粋である。
注1 本センターにおける初任者研修講座30名,経験者研修I 38名,経験者研修II 20名の計88名を対象に行った。
指導しやすい領域として,「読むこと」を挙げている教師が多い。これは「教科書の音読」が「読むこと」の指導として定着しており,中学校の授業で広く行われているためであろうと思われる。 注2
反対に,指導しにくい領域として,「話すこと」と「書くこと」,すなわち,表現の領域を挙げている。「書くこと」の指導が最も指導しにくいとする教師は全体の約3分の1であった。
注2 回答者の93.2%が,「音読」をふだんの授業で「よく行っている指導」,6.8%が「時々している指導」と答えている。