平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -110/175page

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導が必要である。

2 指導法の考案

(1)レスポンス・ライティング(Response Writing)

内容面に配慮するからといって,生徒に自由に英語で文章を書かせようとしても,身に付けている語い,文型,文法事項などが極めて限られている入門期という時期を考えると無理がある。タイトルやトピックなどを与えて,いきなり書けと言ってもかえって自信を失わせてしまう恐れがある。ある程度まとまりのある文章を書くことが生徒にとって難しくないことであると思わせるには,段階を追った指導が必要である。そこで,手軽に取り組める方法としてレスポンス・ライティング(以下RW)という活動を考えた。

RWとは,「教師の言う1文に反応して自分の考えを自由に書くこと」であり,継続的に指導していくことで生徒の書くことへの心理的負担を減らすこととともに,まとまりのある文章を書く力を育てようとするものである。

「教師の言う1文に反応」させるとは言っても,何の脈絡もない1文を提示しただけでは,いきなり書けと言っているのと大差はない。そこで,生徒の表現意欲を引き出すために,新聞の記事(特にスポーツなど),最近出たCDやビデオ,文化,風物(年末年始,クリスマスなど),学校行事,日常生活などからタイムリーで生徒の興味を引きそうな話題を探し出し,2〜3分のsmall talk としてまとめて,生徒の興味や関心を高めたうえで書かせるのである。

small talk

教師はまとまりのある話の締めくくりとして,最後に発展性のある1文(キーセンテンス)を提示し,生徒はその文を出発点として英語を書き始めるのである。「最後の1文」にする理由は,それが引き金となって生徒が自分の考えを自由に展開するのを容易にするためである。

これに対し,あるまとまった話や,読み物に関して自分の考えを書くという活動は,その内容を生徒が把握することが前提となるために,理解できない生徒にとって活動が成立しなくなってしまうのである。そこで,せめて1文でも理解できれば自分なりに話題を切り替えるなどして発展していけるはずである。

話の内容を十分理解できている生徒であれば,さらに突っ込んだ論の展開が期待できる。その際にTeacher’s Talk はモデルとしての働きをするはずである。

昨年の基本研修講座で,受講生を対象に実際にこの活動を行ってみた。「ライオンズ清原,ジャイアンツへ移籍か?」というトピックを取り上げ,“I think he will be amember of the Giants next year.”をキーセンテンスに実施したところ,反応として「PL高校時代のKKコンビのこと」「契約金の問題」「落合の今後とのかねあい」など多彩であった。

話題として考えられるものを,去年と今年の新聞から例としてピックアップする。

○ スポーツ
 ・野茂ノーヒットノーラン
 ・オリックス,ジャイアンツの優勝
 ・アトランタオリンピック
 ・萩原選手,日本人初のNBA選手に!
○ 事件・事故
 ・O−157  ・重油流出事故
 ・ペルー日本大使公邸人質事件
○ その他
 ・アメリカ大統領選  ・エアマックス
 ・たまごっち,など

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