平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -111/175page
(2)この活動がねらうもの
1. まとまりのある文章を書く力を育てる。
「次の日本語を英語にしなさい」のような和文英訳に終始しては,生徒はスペリングや文法的正確さばかりに注意を払い,内容に対する関心は低くなってしまい,書くこと本来の「自分の考えを伝える」というコミュニカティブな機能は麻痺してしまう恐れがある。そこで授業の一部に,計画的・継続的にRWを位置付けることで,自分の考えを英語で書く力を育てていきたい。
2. 書く意欲を育てる。
小林昭江氏は「書く」意欲を育てるための指導の工夫として次の4点を挙げている。 注3
ア 生徒に「書く」ことは面倒ではないと思わせる。 イ 「書く」活動のどこかに生徒が面白そうだと思う要素を取り入れる。 ウ ほめる。 エ 「書く」ことを定期テストに取り入れる。 アについては,書くことを継続し,内容についても深刻に考えずに気軽に書くことを教師が指導していけば,生徒も書くことに対して構えなくなるであろう。
イについては,用紙にイラストをちりばめたり,ALTが訪問して来た場合は生徒の書いた文章にメッセージを書いてもらうなどの工夫ができる。そして何よりも教師が用意する話のトピックの内容が大切である。
ウについては,生徒の書こうとする意欲を持続させるのに,最も大切なことである。生徒の書いた文章の内容についてほめたり,書いた量についても評価すべきであろう。また,すばらしい作文は生徒の了解のもとにクラスに紹介するなどしたい。
エについては,生徒にふだん授業でやっていることがテストに出るということをわからせるいい機会でもある。ウで紹介した文をそのまま「読むこと」の文章題として活用したり,あるいは以前教師が話したトピックと似たような文章を聞かせて書かせたりすることも考えられる。
(3)指導の手順
教師は,生徒にRWをさせるにあたって次のような指示を与える。 注4
1. 気軽に,楽な気持ちで書きましょう。 2. できるだけたくさん書きましょう。 3. スペリングや文法の間違いは気にしないで書きましょう。 4. 英語が出てこないときは日本語でもOKです。 5. 訂正は,消しゴムではなく二本線でやりましょう。 日本語の使用の許可は,思考の停止を防ぐとともに,教師の指導や評価の資料のストックに役立つ。訂正を二本線で行うのは,書く過程で生徒が一度書いたものをとっておくことで,あとから戻ったときに参考になることが少なくないし,書いたものすべてが財産であることを理解させるためである。
ワークシートは次のような様式である。
(A4版の半分の大きさ)
注3 小林昭江「書く意欲をどう育てるか」『英語教育』(大修館)1994年12月号,p.17.
注4 長谷川和則「FREEWRITINGのすすめ」『英語音声学と英語教育』(開隆堂)1992年,P.329.