平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -119/175page
すはたらきには次のようなことが期待できる。以下は生田 茂著「新しい学力観にもとづく葛藤のある道徳指導」より抜粋引用した。(1.〜3.)
1. 自発性の回復が図れる
自発的行動は4〜5才の頃が最も旺盛だと言われている。それがだんだん行動が規制されて自発性が失われるようになる。ロールプレイングの実施に当たっては,自発性の回復が必要である。ウォーミングアップにより,このことが期待できる。
2. 創造性を高める
ロールプレイングでは,相手との関係で,その場に最もふさわしい応答を自分で作り出しながら劇を進めて行かなければならない。そのためには創造性が重要なわけであるが,ロールプレイングにおける創造性は自発性と同じように実際に体を動かしながら身につけていかなければならない。
3. 演技者と観衆の一体感が高められる
演技者の演技を共感的な雰囲気の中で観ることによって,演技者が堂々と活動することができ,その後の話し合いが活発化するためには,教室の中が一体感で満たされていることが必要であり,ウォーミングアップにより,この一体感を高めることができる。
2 研究対象
安達郡本宮町立本宮第二中学校 第2学年2組 (男子20名,女子18名 計38名)
事前に行った生徒の意識調査 (質問内容)
あなたが,道徳の時間に自分の本当の考えを発表しづらいとしたら,それはどんな理由からですか。
回答内容は下記のようである。(回答者35名)
・はずかしいから(13人)
・答え方ががわからないから(7人)
・他の人と考え方が違うと変に思われるから(4人)
・道徳には答えがないから(2人)
・その他(9人)
以上の結果から,約40%近くの生徒は,恥ずかしさの気持ちに勝てず,発表しないでしまうことが予想できる。つまり,これらの生徒の考えを表出しやすい状態を作り,活発な意見の中に多様な考えがみられることが道徳の授業を行う上で最も大切なことであると思われる。多くの中学校のどの学級でも似たような傾向があり,この点に関する改善策を学級担任は模索していると思われる。
3 研究協力学級で行うウォーミングアップの内容について
研究協力学級において,次に示す内容のウォーミングアップを1週間に3回程度,帰りの短学活の時間に5〜10分の時間で実施することとした。対象学級の生徒たちは,小学校以来これまで道徳の時間においてロールプレイングを経験していない者がばとんどであった。
本研究においてのエクササイズのプログラムは1ステップを1週間とし,4段階1カ月以上と計画し,特にステップ4を長期間行うようにした。