平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -126/175page

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考察

1 意識調査の結果より

先に述べた各質問に対する生徒の解答の分析結果によると,今回の計画的・継続的なウォーミングアップが生徒の内面に変化をもたらしたことは明らかである。そのことば事後調査の数値が事前調査のそれに比べて,どの項目も上昇していることから読みとれる。

2 生徒の授業に対する感想より

授業後の感想文から推測すると,ロールプレイングにより生徒たちは授業の内容を自分のこととして受けとめるようになり,自己の内面をしっかり見ていたことが伺える。特に資料の主題である「思いやり」についてはそれぞれ真剣に考えたことが理解できる記述が多かった。

3 研究協力学級学級担任の感想より

今回の継続的なウォーミングアップを実践してみて学級の生徒の親密感が以前に比べて高まってきているように感じられる。特に男子と女子の間では,照れてゲームやグループ活動の際にあまり協力的とは言えなかったが,現在はお互いが協力的態度で楽しそうに取り組むようになってきた。そして,他人の話を聞く態度も向上し,話し合いも活発化してきたように思える。わずか,1カ月であるが変化が見られたことは予想以上であった。

IV 成果と今後の課題

1 研究の成果

1. 計画的・継続的にウォーミングアップをすることで,中学校の道徳授業においてロールプレイングを用いた授業を行う場合にも,演技に対する抵抗感が少なくなり,生徒は自己の考えを表出しやすくなるということが確認できた。

2. 道徳の授業でロールプレイングを行うために,事前の長期的なウォーミングアップとして,どのような内容を,どのようにして,どのくらいの量を行えばよいか等の具体的な目安を得ることができた。

3. 学級経営の中に継続的なウォーミングアップを計画して実施することにより,学級内の人間関係にも良い影響をもたらし,共感的な人間関係が構築できることが認められた。

2 今後の課題

ロールプレイングは道徳の授業において有効な手段であるが,どのような資料においても効果的であるとは限らない。今後は資料内容による効果の違いについて実践的研究を深めたいと考える。

最後に本研究のために,研究の趣旨をご理解いただき,昨年度より快く御協力くださいました本宮町立本宮第二中学校の伊東博校長先生,大崎孝一教頭先生,江尻栄久先生,白石田洋子先生に対しまして,深く感謝申し上げます。

参考文献

・「中学校指導書 道徳編」(文部省)
・「役割演技ハンドブック」(江橋照雄) 明治図書
・「新しい学力観にもとづく葛藤のある道徳指導」(生田 茂) 黎明書房
・「役割演技による道徳指導」(生田 茂) 黎明書房
・「教師のためのロールプレイング入門」(金子 賢) 学事出版
・「エンカウンターで学級が変わる」(国分康孝) 図書文化社
・「学級経営実践マニュアル」(手塚郁恵・刀根良典) 小学館

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