平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -127/175page

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興味や関心を生かす学習活動を支援するソフトウェアの開発

長期研究員  遠藤 隆徳 佐藤  哲 西牧 伸弘

研究の要旨
 昨年7月の中教審第一次答申の中で,今後の教育の基本的方向として大きく取り上げられたのが『生きる力』の育成である。また,答申の第三部第三章「情報化と教育」においては,『高度情報通信社会における情報リテラシー』の育成が掲げられ,さらに教育的観点に立ったソフトウェアの研究開発についてもその必要性が述べられている。
 本研究は,このような要請に応えるべく,ソフトウェアの研究開発,並びに開発したソフトウェアの授業における効果的な活用法について明らかにしようとするものである。特に,ソフトウェアの研究開発については,各研究員がそれぞれの研究教科を通して,児童生徒の興味や関心を生かしながら主体的な学習活動が展開できるようなソフトウェアとなるように考慮した。本研究において,各研究員が開発した教育用自作ソフトウェア(以下「開発ソフト」と記す)は次のとおりである。
1. 「福島県の地層」(小学校理科):地層の学習を支援するマルチメディア教材
2. 「福島県版奥の細道ガイド」(中学校国語科):古典の発展学習を支援するマルチメディア教材
3. 「お助けマン!」(中学校数学科):関数関係を考察する能力を高めるための支援ソフトウェア
 本稿は,本研究の全体構想や成果と課題を示しつつ,各研究員ごとに,それぞれ開発したソフトウェアの構成や内容,活用実践を通しての評価等についてまとめたものである。

I 研究の意図

昨年6月に,第15期中央教育審議会は「21世紀を展望した我が国の教育のあり方について」と超した審議のまとめを公表し,翌7月に第一次答申を行った。

その中で,今後の教育の基本的方向として大きく掲げられたのが『生きる力』の育成である。具体的には,「自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力」が,『生きる力』の一つとして挙げられている。そして,この『生きる力』の重要な要素の一つとして,「あふれる情報の中から,自分で本当に必要な情報を選択し,主体的に自らの考えを築き上げていく力」が取り上げられている。

また同時に,「時代を超えて変わらない価値のあるものを大切にするとともに,社会の変化に的確かつ迅速に対応する教育」の必要性についても述べられている。この「社会の変化に対応する教育」の一つとして,まとめの第三部第三章「情報化と教育」の中において,「情報や情報機器を主体的に選択・活用し,情報を積極的に発信していくための基礎的な資質や能力『高度情報通信社会における情報リテラシー(情報活用能力)』の基礎的な資質や能力の育成」が掲げられている。

本研究は,このような21世紀へ向けた教育の大きな流れをとらえ,児童生徒が自分の興味・関心に応じで情報を主体的に選択・活用しながら,自ら意欲的に学習を進めていくことを支援し,さらに次の学習への意欲を引き出すようなソフトウェアの研究開発をめざしたものである。このことは,次代を担う児童生徒の『情報活用能力』の育成を図るとともに,『生きる力』の育成にも資するものであると考える。


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