平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -142/175page
IV 研究の成果と課題
1 成果
○ 協力員を依頼したことによって,貴重なアドバイスや資料作成等の援助を得ることができ,より質の高い開発ソフトを作成できた。
○ 開発ソフトの内容構成図や構想画面を各協力員に提示することによって,開発ソフトの不足点や修正点についての意見が得られ,それらをソフトウェアの開発に生かすことができた。
○ 基本設計書作成段階において,画面構成を基に画面同士の関連やデータのリンク状況,ボタンの配置とその表示方法等細部にわたったものを準備したことによって,開発作業が効率よく進んだ。
○ ソフトウェアの開発と関連して,指導内容の見直しを図ることにより,課題解決のためのツールとしての活用や発展学習への素材提供など,幅広い活用が可能となった。
○ マルチメディア化やマルチウインドウ化により,視覚的・聴覚的な情報を的確に提示できるようになった。
○ 児童生徒のイメージしにくい世界を具体的かつ瞬時に繰り返し情報提供できるので,学習の遅れがちな児童生徒に対しても興味・関心を引きだし,次の学習への意欲を喚起する効果がある。
○ 児童生徒が,自分の必要とする情報(資料,データ,機能等)を選択して得ることができるので,効率的な学習を進めることに役立つ。
○ 開発ソフトは,児童生徒が自ら課題を見つけ,「調べる」「体験する」「深める」など発展的学習への動機付けとして有効である。
○ ソフトウェア開発を通して,音声・静止画・動画等を開発ソフトに組み込むための素材の加工法,圧縮技術,著作物の許諾方法等についての情報を得ることもできた。
○ 福島県の児童生徒になじみのある地域や素材を基に開発したため,地域(郷土)密着型のソフトウェアとなった。
○ 「福島県の地層」では,児童の直接体験への関心・意欲を引き出す効果が期待される。福島県版「奥の細道ガイド」は,生徒の主体的で自由な学習活動を導く効果,「お助けマン!」は,関数学習への興味・関心を高める効果がそれぞれ認められる。
2 課題
○ 開発協力員全員と一同に話し合う機会を持つことができなかった。問題によっては意思の統一が必要であるため,協議する時間の確保が大切である。
○ 単元や題材全体を見通し,どの場面でどのように活用するかを事前に十分検討して開発ソフト活用の計画を立案する必要がある。
○ 開発ソフト偏重の指導にならないよう,直接体験などパソコンから離れた活動を適宜取り入れながら指導する必要がある。
○ マルチメディア型ソフトウェアの開発では,静止画・動画・音声等の素材データ収集の際に,著作権の問題が生じた。そのため,出版社や著作者との交渉や,さらに自ら取材に出向いて素材を集める等の必要がある。
○ マルチメディア化によりデータファイルの容量が大きくなるため,記憶媒体としてMO・PD・CD−ROM等が必要である。
〜終わりに〜
今回のソフトウェア開発研究に際し,ご協力・ご支援くださいました関係協力校の校長先生はじめ諸先生方に,心より御礼申し上げます。
今回開発しましたソフトウェアを授業で活用してみたい方は,教育センター情報教育部までご連絡ください。 《参考文献等》
・ 文部省 「文部広報 第966号」 文部省大臣官房 (1996) ・ 水越敏行著 「メディアが開く新しい教育」 学研 (1994)