平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -152/175page
II 研究の内容・方法
1 研究に関する基本的な考え方
学校教育相談の定着・充実のためには,学校の教育相談システム=組織,運営,施設・設備の活性化を図るハード面からのアプローチと,教師の教育相談マインド=意識,姿勢,技能の高揚を図るソフト面からのアプローチがある。しかしながら,学校の教育相談システムと教師の教育相談マインドには相補性があり,単純に切り離して考えることはできない。事実,昨年度の調査では,学校教育相談システム活性化の第二の具体案は「教育相談の重要性に対する職員の意識変革」であった。
本研究で実践する校内事例研究会も,その実施自体は,学校の教育相談システム=組織,運営にかかわり,その実施内容は,教師の教育相談マインド=意識,姿勢,技能にかかわるものである。
本研究では,学校の教育相談システムと教師の教育相談マインドの相補性を十分考慮し,併せて両者と校内事例研究会のかかわりを下図のようにとらえ,研究を進めていくことにする。
2 研究の内容
本年度の研究では,校内事例研究会の実施が学校教育相談システム活性化の具体策となり得るのか,また,なり得るとすれば,その実施はどのように学校教育相淡システムの活性化につながるかを探ることを主たる内容とする。
つながりをみる観点は,以下の5つである。
(1)事例研究会の実施により,教育相談部(係)がより一層機能するようになったか。 (2)事例研究会の実施により,教師の生徒理解が深まったか。 (3)事例研究会の実施により,教師の生徒支援の力量が高まったか。 (4)事例研究会の実施により,教師間の教育相談への共通理解が図られたか。 (5)事例研究会の実施により,教師間の連携が強まったか。 3 研究の方法
本年度は,福島県立福島商業高等学校(生徒数:1,305名)の教育相談部に研究協力を依頼し,1学期に1回,2学期に2回,3学期に1回,計4回の校内事例研究会を定期的に実施し,実践的に研究を進める。併せて,各段階で,研究協力員(の代表)と下記の話し合いの場を設定する。
(1)第1回の校内事例研究会を実施する前に,研究協力員の代表と,本研究のねらいを確認し,学校の実情に合った,校内事例研究会の方法,規模,時間などについて協議する。
(2)第2回の校内事例研究会の終了後に,研究協力員とともに,より成果のある事例研究会の在り方について中間検討を行う。
(3)第3回,第4回の校内事例研究会の終了後に,研究協力員とともに,校内事例研究会の実践を通して得た成果と課題について考察を行う。