平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -157/175page

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学級担任と学年教師の連携を基に行われるのが一般的ですし,効果的です。その意味で,将来的には,事例研究会が学年単位で実施できるようになればベストだと考えています。ただ,そのためには,学年内に事例研究会の意義や進め方を理解している教師が複数いることが前提であり,現時点では,教育相談部が開催する事例研究会に一人でも多くの先生に参加者してもらうことが必要です。
《白土》
 事例研究会の実施は,教育相談部が機能を現在形だけでなく,未来形でも発揮する機会となるわけですね。

(2)事例研究会の実施により,教師の生徒理解が深まったか。

《C教諭》
 教育相談部に所属するようになって,実は悩むことが多くなりました。それは,生徒を多角的にみること,一人一人の心の奥の声を聴くことの難しさを痛感するようになったからです。
《白土》
 大変さ,難しさを感じるようになったということば,ある意味では,以前より深く生徒のことを理解しようと努めているということなのではないでしょうか。
《C教諭》
 確かに,事例をまとめる過程で生徒の気持ちを考えたり,事例研究会で問題行動の背景にある要因を話し合ったりすることで,生徒理解を深める努力を少しずつしていると思います。
(略)
《D教諭》
 私は,生徒は皆よさや可能性をもっていると考えています。事例研究会で取り上げた生徒にも問題点ばかりだけでなく,よいところが沢山あるのではないでしょうか。
《白土》
 問題を抱えている生徒はど,必死に自分のよさや可能性を探しているといえます。問題解決の支援の在り方には,よさや可能性探しの援助という視点も大切だと思います。

(3)事例研究会の実施により,教師の生徒支援の力量が高まったか。

《B教諭》
 以前から,生徒と接するときは,注意するだけではなく,どこか一つ褒めようと努めてきたつもりです。今回,事例研究会を通してそれは大事なことだったのだと再確認できました。
《白土》
 先生の言われるとおり,認められることが,自分に自信をもち問題を乗り越えていく力につながるのだと思います。また,認める,認められるという関係の中にこそ,教師と生徒の信頼関係は築かれるのではないでしょうか。
(略)
《C教諭》
 教育センターでこの夏受講した学校カウンセラー(初級)講座で学んだ「聴く」ことの大切さを,事例研究会で再確認しています。自分自身でも,以前に比べると,生徒に対しても保護者に対しても,相手の話をまずじっくり聴こうとするようになりました。
(略)
《A教諭》
 教育相談室を今年から開設したわけですが,実際にはまだ生徒が来室して相談というケースはごくわずかしかありません。教育相談部員が生徒支援の力量を向上させていく中で,相談件数も増えていくのかもしれません。
《白土》
 個性も悩みもその原因も一人一人異なる生徒に対して,適切かつ効果的な支援ができるよう

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