平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -158/175page
になるということは難しいことです。私も,先生方と一緒に研修を積むという気持ちで,4回の事例研究会に参加させていただきました。 (4)事例研究会の実施により,教師間の教育相談への共通理解が図られたか。
《A教諭》 事例研究会のPRと同時に,事例提供と参加を先生方に呼びかけてきました。その結果,何人かの先生が応じてくれました。 《D教諭》 ただ,先生方の中には自分の指導方針と方法に信念をもっている方もいるので,どの先生方もというわけにはいきませんね。 《白土》 「教育相談は甘い」という考えをもつ先生方もいらっしゃるかと思います。ただ,事例研究会に参加していただき,目に見えにくい生徒の気持ちの深い部分や,よりよい支援の方法について,参加者全員で一生懸命話し合う雰囲気を味わってもらえれば,その誤解は少しずつ解けていくのではないでしょうか。 《C教諭》 自分も事例研究会に参加し,生徒の話に耳を傾けること,生徒自身が問題を直視し解決するよう支援することは,決して甘いものではないと感じています。教師にとっては,生徒の話を最後まで聴くことは難しく,生徒にとっては,自分の問題を直視することは苦しいものです。教育相談は決して甘いものではありませんね。 (略) (5)事例研究会の実施により,教師間の連携が強まったか。
《白土》 第2回以降の事例研究会では,保護者との面接などにおいて,担任への援助の申し出があった点,すばらしいと感じました。申し出がありそれを受け入れた時点で,そこに連携が生まれたといえると思います。 《A教諭》 一人で問題を抱えて悩んでしまうときがあります。ただ,担任は問題行動を起こしている生徒ばかりでなく,他の生徒のことも考えなければいけません。自ずと限界は出てきます。 《C教諭》 本人に対してはもちろんのこと,場合によっては保護者や学級にも働きかけなければいけないとき,一人では実際大変です。 《白土》 私自身,担任をしていたときには,問題を抱えている生徒を自分一人の力で何とかしたいとがんばっていた時期がありましたが,そのことで全体に目が届かず,学級がおかしくなったことがあります。確かに,担任としてがんばることは大切な姿勢ですが,個人の限界を越える部分では他の先生方の協力を得ることが,本当に生徒を大切にすることなのだと思います。 《D教諭》 私も,事例研究会を通じて,組織を動かすことの重要性を再確認しました。ただ,その場合には,担任と協力する教師との信頼関係が肝心ですし,両者の役割分担やそれぞれが行う援助の内容についてもよく話し合うべきですね。 (略) IV 研究の成果と課題
1 研究の成果
4回の校内事例研究会の実践について,研究協力員とともに行った考察から,次のことが研究の成果として明らかになった。