平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -160/175page
2 今後の課題と見通し
(1)校内事例研究会については,以下の点において課題が残った。
1. 参加者が増えていくことは望ましい傾向であるが,事例研究会の適正規模は10名前後といわれている。事例研究会の実施規模の限度,規模に応じた実施方法についても研究を深めていきたい。
2. 本年度は問題行動を起こしている生徒を対象とし,治療的な指導援助について話し合ってきたが,教育相談は本来すべての生徒を対象として行うべきものである。そのため,事例研究会の内容も,開発的な指導援助,予防的な指導援助へと幅を広げていけるよう研究を進めていきたい。
3. 事例研究会にはスーパーバイザー(助言者)がいることが望ましく,本年度は筆者がその役を務めたが,将来的には,校内にスーパーバイザー的な教師が育っていくことが期待される。校内に助言の力量をもつ教師が育つためにはという視点も取り入れ,研究を継続していきたい。
(2)学校教育相談システムの活性化の具体策としては,校内事例研究会の実施以外のものも考えられる。来年度は,他の具体策についても実践的に探っていきたい。
最後に,本研究にご理解,ご協力をいただきました,福島県立福島商業高等学校の常松明男校長先生をはじめ,教育相談部の佐藤一之先生,門脇紀美子先生,成田憲一先生,田中洋子先生,事例を提供して下さった先生方に,心から感謝申し上げます。
なお,本研究では,秘密を守る義務から,事例研究の対象生徒が特定されないように配慮した。そのため,生徒氏名はもちろんのこと,教師名についても匿名としたことを,ご了解いただきたい。
《参考文献・図書》
1)『学校教育相談の現状と課題一岡山県高等学校における実態調査から−』平成元年3月 岡山県教育センター 2)『学校における教育相談の考え方・進め方−中学校高等学校編−』平成2年3月 文部省 3)『学校カウンセラー講座テキスト−平成8年度−』 福島県教育センター教育相談部編 4)『学校カウンセリングの組織と運営』 松原達哉編 ぎょうせい 5)『学校教育相談・中級講座』 小泉英二編著 学事出版 6)『だれもが身につけたい生徒指導・学校教育相談の技法』 全国教育研究所連盟 ぎょうせい 7)『システマティックアプローチによる 学校カウンセリングの実際』 東山紘久・藪添隆一著 創元社 8)『学校カウンセリングの基本問題』 国分康孝著 誠信書房 9)『個々の児童・生徒に添う 生徒指導と学校教育相談』 今井五郎著 ぎょうせい 10)『カウンセリングを考える(上)』 河合隼雄著 創元社 11)『カウンセリングの技法』 国分康孝著 誠信書房 12)『カウンセリングの話』 平木典子著 朝日新聞社