平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -164/175page
『問題行動への対応』では,「不登校」2.0が最も順位が高く,次が「いじめ」2.1の順位となっている。
『教育相談の研修』では,「教育相談の考え方」2.6が最も順位が高く,「相談的授業」と「面接のしかた」がいずれも2.8,「予防開発の機能」2.9の順位となっている。
『保護者等との連携』では,「非協力保護者との連携」1.6が最も順位が高く,次が「養育能力がない保護者との連携」1.8の順位となっている。
5. 校内研修会の研修方法
受講者の64.4%が,「事例研究・協議形式」を希望しているとの結果である。
(2)考察
1. 生徒指導・教育相談の校内研修会実施の有無と実施していない理由
調査から,おおよそ,3分の2の学校が,生徒指導・教育相談の校内研修会を実施しておらず,「校務繁忙」と「機運が盛り上がらない」との理由によっていることが明らかとなった。
昨年度の本研究の結果を待つまでもなく,生徒指導の困難度が高まっており,未実施のいずれの理由とも大きな課題と考えられる。
2. 校内研修会の実施回数
調査から,受講者の半数以上が「学期に1回程度」は実施したいと考えていることが明らかとなった。
校内研修会を実施していない理由に,「校務繁忙」があげられており,各学校の実情から判断して「学期に1回程度」の実施が適当と考えられる。
3. 校内研修会の参加者
調査から,受講者の6割が,「全職員」で実施したいと考えていることが明らかとなった。
生徒指導・教育相談は,特定の担当者によって行われるものではなく,好ましい結果である。
しかし,受講者の2割が希望者・担当者と答えており,教職員による意識の差が課題と考えられる。
4. 校内研修会テーマの必要度
調査から,『問題行動への対応』がテーマとして,必要度の高いことが明らかになった。
これは,生徒指導の困難度が高まっていることからすれば当然と考えられる。
各テーマの具体的な内容の調査結果からは,順位の高い「非協力保護者との連携」,「養育能力がない保護者との連携」,「不登校」,「いじめ」のいずれもが,テーマとして重要と考えられる。
5. 校内研修会の研修方法
調査から,受講者の3分の2が,「事例研究・協議形式」を希望していることが明らかとなり,校内研修会にあたって,重視すべき点と考えられる。
2.校内研修会
[研究協力校(初回),及び講師依頼のあった3校における校内研修会]
(1)研修テーマの選定と研修方法の検討
どの学校にも,生徒指導・教育相談の力量を高めるのに効果の大きい研修テーマ及び方法を探るために,以下の内容と方法で実施することにした。
1. 不登校の分類
2. 不登校の段階と援助の在り方
3. 登校刺激
4. 不登校生徒の感情(気持ち)
5. 生徒への対応例
6. 保護者に来校を求めた時のよくないかかわり8か条
「不登校」は,前掲アンケート調査で『問題行動への対応』の1位で,各校からの要望も多いことから,1.〜5.の内容を取り上げることにした。
1.〜3.は,「講義・講演形式」で,4.は次ページ【図7】の資料を使用し, 1) 「事例研究・協議形式」で実施することにした。
5.は次ページ【図8】を脚本とし,「実技・実習形式」で実施することにした。
「保護者との連携」は,前掲アンケート調査の結果や各校からの声等で,難しさが指摘されており,