研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -057/166page

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たかどうかの判断は,学習した事象の,事実,相互,因果などの関係がどの程度理解できたかを問うテスト問題で行うことにした。

3 思考活動の活発化のとらえ方

観察,実験や実習は好きだが,結果を考察したり, まとめたりすることは嫌いという児童生徒が多い。 感心,意欲という情意面は高まっても,認知面の高まりにまで結び付いていかないと知識,理解として定着しない。やる気はあっても実際に行動が伴わなければ身に付かない。その行動には,解決方法を考える,問題を解く,観察や実験を行う,作業をする,考えをまとめる‥‥ など,様々な形態があるが,それらの基本として必要なのは「自ら考える」という活動である。自分から進んで考えるという過程を経て課題解決ができることが,生きた知識の獲得につながる。

自分から進んで考えることを面倒で苦痛な活動のように思っている児童生徒は少なくない。このような児童生徒に対しては,教師が,思考を促し,思考活動を活発にする配慮や工夫をして,自分から進んで考えることができるように支援する必要がある。 思考活動が活発に行われたかどうかについて,本研究では,科学的な思考がどの程度できたかについての,児童生徒の自己評価で把握することにした。

4 思考活動を活発にする授業

思考活動が活発になるためには,授業が,児童生徒にとって 間題解決的な学習 になることが基本であるととらえた。さらに,授業を展開するにあたって以下の点を特に重視した。

(1) 事象(教材)提示の仕方 を工夫する。
(2) 体験的な活動 を取り入れる。
(3) 自分的を表現する機会 をつくる。
(4) ゆとりをもって考える 事ができるようにする。
(5) 問題解決の満足感 を味わえるようにする。

1 思考活動を活発にする具体的方策

各教科,各単元のねらい及び児童生徒の実態を基に,思考を促し,思考活動を活発にする方策を考え授業で実践した。各教科での具体的方策は次表のとおりである。

実践 対象校・教科 思考活動を活発にする具体的方策
1 小学校
理科
素朴概念の異なる児童同士のグルー
プ編成による話会いなど
2 中学校
理科
モデル教材の活用と「かく,話す」
行動を促す支援
3 高校理科
科学IB
定着度に応じたグループ学習と助
言の継続など
4 高校理科
生物IB
生徒自身の発想や計画を生かした
探求活動
5 高校理科
地学IB
T・Tを生かしたグループで製作
活動や作業活動
6 中学校
技術・家庭
操作教材の製作とそれぞれを活用
したプリント学習

2 共通に行う調査とその処理

以下の5つの調査を各実践で行った。

調査1 「支援要求傾向」(自己評価)
調査2 「関心・意欲の程度」(自己評価)
調査3 「思考活動の程度」(自己評価)
調査4 「思考活動を活発にする方策について
    の児童生徒の評価」(自己評価)
調査5 「学習内容に関する理解の程度(科学
    的な思考の程度)」(ペーパーテスト)

以下に示すのは, 調査1〜調査3 の内容である。 調査1 では10項目について4段階の自己評価で, 調査2 調査3 では各8項目について5段階の自己評価で,それぞれ調べ,その結果を数量化した。さらに,各調査の評価の全項目の平均値をもって,それぞれ,児童生徒の,支援要求傾向,関心・意欲の程


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