研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -059/166page

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IV 各教科での実践

実践1

小 学 校  理 科

1 対象・単元・期間

○対象 5年 男子17名 女子17名 計34名
○単元 「もののとけかた」
○期間 平成9年10月〜12月

2 思考活動を活発にする具体的方策の実践

(1)素朴概念の異なるグループ編成による話し合い 活動

児童が学習の前に自然事象(学習内容)についてどのような理解をしているかを素朴概念ととらえた。

児童の素朴概念の把握は,下のような調査用紙を児童に配付し,自分の考えに近いものを選択させる方法で行った。さらに,その選択理由を可能な限り記入させた。この結果をもとに,考えの異なる児童同士のグループを編成し,話し合い活動を行った。

さとうを水の中に入れ,よくかきまぜてとかしました。さとう水のこさはどのようになっていると思いますか。あなたの考えに近いものを次のア〜カから選びましょう。ア〜カの中にないときは,キにあなたの考えを書きましょう。

図では,こいところほどこくぬってあります。

砂糖水の予想図

答え えらんだわけを書きましょう
   

(2)かく(描く)活動(概念地図,イメージ図)

思考活動の程度(調査3)の事前調査から,項目7「自分の考えをまとめたり,発表したりする」の5段階自己評価の学級平均が2.6と低いことがわかった。そこで,児童が自分の考えをまとめることができるように,かく(描く)活動を取り入れた。

1)概念地図

科学的な思考ができるとは,事象の意味付け,関連付けができるようになることでもある。ここではそれらができるように児童に概念地図をかかせることにした。

概念地図法は,単元の学習内容に関係のあるいくつかの用語を紙面上に配置し関係があると思う用語同士を線で結び,―つ―つの線の横に用語と用語を関係付ける言葉を記入する方法で,概念をバラバラな知識としてではなく,知識が相互に関係付けられた網の目としてとらえる考え方である。

2)イメージ図

素朴概念についての事前調査から,「とける」ということを理解させるためには,溶質と溶媒の相互関係に注目させる必要があると考えた。ものがとけているという現象は,溶質が目に見えないので言葉では説明しにくい。そこで水溶液の中で「食塩」と「水」がどのようになっているのかを考えさせるため,水溶液のイメージを図にかかせた。

授業では,単にカードにかくだけでなく,友達同士でカードにかいたものを見せ合ったり,話し合ったりして意見を交換させた。

なお,本実践では,素朴概念の調査で把握した児童の考えを生かすため,単元を通してT・T方式により授業を行った。(図1)

図1
図1 T・T方式による授業


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