研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -068/166page
・身の回りの物質を使った酸・塩基の性質を調 べる実験
・ 酢酸と固体水酸化カリウムとの反応による中 和反応で生じる水の確認
・万能指示薬とlOmlプラスチック注射器を使っ た中和の量的関係を確認する実験さらに,単元の最後には,単元のまとめの意味で,学習内容を総合的に考える実験に取り組ませ,学んだ知識を活用する場を設定した。(内容は2(2)のワークシート参照)
3 結果と考察
講じた具体的方策の効果や知識・理解の程度などについて,定着度テストの成績群で分けた上位群,中位群,下位群の生徒ごとに調べた。
(1)関心・意欲と思考活動との関係
図1 は,事後の,「関心・意欲の程度で(調査2)と「思考活動の程度」(調査3)との相関を示したものである。両者の間には,かなりの相関(相関係数0.61)がみられた。また,それを成績群ごとにみても相関がみられた。
このことから,どの成績群でも,関心・意欲が高い生徒ほど,思考活動を活発に行っていたことがわかる。
図2は,事前と各小単元終了後に,「思考活動の程度」(調査2)を調べ,各成績群別に全項目の平均で表したものである。いずれの成績群でも,事前の場合より思考活動の程度が高まっており,各成績群とも学習内容が深まるにつれて思考活動が活発になってきたことがわかる。
(2)教師の助言に対する生徒の評価
事後に,「教師の助言に対する生徒の評価」(調査4)を,次の項目の自己評価により調べた。
調査4)「教師の助言に対する生徒の評価」
図3は,その結果をまとめたものである。肯定的に答えた生徒の割合は,どの項目でも高く,意欲を高め思考活動を活発化するうえで,教師の助言は効果があったといえる。
次の項目について,あなたの気持ちにもっともあてはまる段階をそれぞれ選んでください。
4:とてもよくあてはまる 4:あてはまる
3:少しあてはまる 2:あまりあてはまらない
1:まったくあてはまらない先生からの助言やヒントを出してもらったことで,
1 以前の授業より意欲をもって授業に取り組む ことができた。
2 以前の授業より学習の目標(課題)をつかむこ とができた。
3 以前の授業より実験の予想を立てながら取り 組むことができた。
4 以前の授業より課題解決のための手順や方法 を筋道立てて考えることができた。
5 以前の授業より自分で考えながら授業に取り 組むことができた。図3は,その結果をまとめたものである。
肯定的に答えた生徒の割合は,どの項目でも高く,意欲を高めた思考活動を活発化するうえで,教師の助言は効果があったといえる。