研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -069/166page
なお,教師の助言についての生徒の感想を成績群ごとにあげてみると,
・先生からの説明がわかりやすかったので,疑問 があってもそれを解決するた
めの筋道が立てやすかった (上位群)
・解決方法がわからないときなど,教えてもらって助かった (中位群)
・先生からヒントを出してもらって,実験が以前 よりスムーズに行うことができた。 (下位群)など,好意的に受けとめている記述が多く,教師の助言が思考を促す要因となったと考えられる。
(3)ワークシートの活用に対する生徒の評価
図4は,「ワークシートの活用に対する生徒の評価」(調査4)をまとめたものである。(調査項目及び評価方法は,3(2)の教師の助言に対する生徒の評価に同じ。)
肯定的に答えた生徒の割合は,どの項目でも高く,意欲を高め思考活動を活発化するうえで,ワークシートを活用した授業は効果があるといえる。
図4 調査4) 「ワークシートの活用に
対する生徒の評価」また,ワークシートの記入がよくできている生徒のほうが,思考活動は活発であった。"課題の把握,実験結果の予想,結果との比較などの段階を踏んで,考えたりまとめたりすることは,思考活動の活発化と関係が深い。
(4)実験に対する生徒の評価
単元のまとめで行った「実験に対する生徒の評価」(調査の)を,次の項目の自己評価により調べた。
調査04)「実験に対する生徒の評価」
次の項目について,あなたの気持ちにもっともあてはまる段階をそれぞれ選んでください。
4:とてもよくあてはまる 4:あてはまる
3:少しあてはまる 2:あまりあてはまらない
1:まったくあてはまらない1 実験内容に興味がもてた。
2 実験の計画や結果を予想して取り組んだ。
3 赤いりトマス紙でlつの水溶液が何であるか判断できた。
4 わかった水溶液を使って残りの3つの水溶液 が何であるか判断できた。図5は,その結果をまとめたものである。
肯定的に答えた生徒の割合はどの項目でも高い。生徒の感想には,「実験をして結果がきちんとあたっていてうれしかった。」「赤いりトマス紙だけで4つの水溶液の名前がわかってしまうことがすごいと思った。」などがあった。
このことから,興味,関心を高め,理解したという充実感を持たせるうえで,この実験は有効であるといえる。
また,図6は,「実験に対する生徒の評価(全項目の平均)」(調査4)と,事後の「思考活動の程度」(調査3)とめ相関を示したものである。
両者の間にはかなりの相関(相関係数0.60)がみられた。また,それを成績群ごとにみても相関がみられた。
このことから,どの成績群でも,実験に対する評価が高い生徒ほど,思考活動が活発であることがわかる。