研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -070/166page
図6 実験に対する生徒の評価と
思考活動との相関図(5)思考活動とテスト成績との関係
図7 は,事前,事後に行った「テスト問題」(調査5 )のうち,事実関係が把握できたかどうかをみる問題と,相互関係・因果関係が把握できたかどうかをみる問題の正答率の変容を,それぞれ成績群ごとに示したものである。
図7 テストの正答率
どちらの問題の正答率も,中位群の伸びが大きかった。
これは,3(1) に示した「思考活動の程度」の変容を示したグラフでわかるように,他の群に上とべ小単元2終了後と事後の調査での思考活動の程度の変容が大きく,このことがテスト成績に関係していると思われる。
このように,思考活動の活発化は,事象の理解を
深めることにつながると考えられる。
次に示すものは,事前,事後に行った「テスト問題」の―部である。
調査5)「テスト問題」(―部)
4 同じモル濃度の1価の強酸A,・弱酸Bがある。
強腰A,弱酸Bとマグネシウムとの反応を調べたところ次のような結果になった。
<実験結果等―部省略> (3)2つの酸の反応の様子の違いはどのように説 明できるか。次の文の[ ]内の適当な語句を 丸で囲み,正しい文にしはさい。
酸が水に溶けて電離している割合が大きいと,設問(2)のイオンの濃度は[小さい,同じ,大きい]と考えられる。
そのため,マグネシウムと出会う機会は,[Aのほうが多い,A,Bともに同じ,Bのほうが多い]と考えられるので,[Aのほうが,A,Bともに,Bのほうが]反応が激しい。
※ 因果関係の把握(4)水溶液が中性の場合PHの値はいくらになり ますか。また,酸性の水溶液では,中性の場合 と比較してpHの値はどうなりますか。
1)中性のpHは( )
※事実関係の把握2)酸性の水溶液では中性の場合に比較して
※相互関係の把握(5)設問(3)と(4)の考え方から,この2つの水溶液 のpHを比較すると,酸A,BどちらのpHが 大きい値になると考えますか。
※相互関係の把握まとめ
(l)教師の助言を個に応じて適切に行うためには,定着度に応じたグループ活動は有効である。
(2)思考活動を活発にするうえで,教師が継続的に適切な助言を行うことは効果がある。
(3)ワークシートで,考える過程を具体的に段階を追って示すことにより,思考活動を通して学習内容を理解させることができる。
(4)思考活動を活発にすることは,事象の理解を深め,知識・理解の獲得につながると考えられる。