研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -072/166page
本実験,データの処理・考察,レポート作成
生徒は,計画書に基づき,グループで協カしあって実験を実施した。その結果については,データの処理,仮説の検証などの考察を適切に行いレポートにまとめた。
教師は本実験では生徒の自主的な活動を尊重しながらも危険防止に細心の配慮をした。また,データの取り方,処理の仕方については,グループごとに支援を行った。さらに,レポートについては,創意・工夫して班の特色が表れるようにした。
(4)発表会
発表会を開催し,グループごとに自分たちの研究結果を発表するとともに,他のグループの発表を聞き,「酵素」や「探究の仕方」などについて理解を深めた。
教師は,発表内容や方法についても検討させ,発表のための図や表などを作成して用いるなどわかりやすい発表ができるようした。
図3は,本実験の結果,データの処理,考察をまとめたレポートの例である。
3 結果と考察
(1)教師に対する支援要求傾向の変容
図4は,「支援要求傾向」(調査1)の事前,事後の変容を学級平均で表したものである。
10項目中,9項目が事後に減少し その中でも項目9「わかるようななるまで,根気強く努カする」,項目10「新たな疑問や難しい課題の解決にむけて努力する」が特に低くなった。このことは,探究活動が生徒主体で行われたため,目分から進んで学習に取り組む意識がより高まったためと考えられる。―方,項目5「疑問をもったとき,先会生に質問する」は,事前,事後とも10項目中で最も高かった。このことは,生徒は教師に対して,何でも質間できるような人間関係や授業を望んでいるためと考えられる。
(2)思考活動の変容
図5は,探究の過程におげる科学的な「思考活動の程度」の変容(調査3)を学級平均で表したものである。「解決方法を考える」「考えをまとめて発表する」「方法を工夫する」という項目の変容が特に大きい。これは,この探究活動のなかで,科学的な考え方ができたためと考えられる。