研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -073/166page
思考活動と事後テスト成績との関係
図6は,事後の思考活動の程度と事後テスト(調査5)成績との関係を表したものである。
両者の間にはかなりの相関(相関係数0.63) がみられ,事後テスト成績が高いのは,思考活動が活発になり,確かな知識・理解が獲得できたためと考えられる。
テスト問題は,科学的な思考ができるかどうかを調べることをねらいとして作成した(図7)。
図7 調査5)テスト問題(一部)
<因果関係の把握をみる問題>
問4 グラフは,20℃で,ある酵素反応の生成物の量を時間の経過と共に示したものである。次ぎの問に答えなさい。
(1)この酵素反応において,時間が経過するに つれて基質の量はどのように変化するか。グ ラフで表しなさい。
(2)酵素の濃度を2倍にした場合,グラフのX, Yはどうなるか。それぞれ書きなさい。
X( )
Y( )科学的な思考の変容
図8は,事前,事後テスト(調査5)について,事象認識の段階別の問題の正答率の変容を学級平均で表したものである。各段階とも事後テストの正答率が高く,科学的な思考ができたと判断できる。
(5)思考活動の変容とテスト成績の変容との関係
図9は,事前,事後について生徒の自己評価で調べた「思考活動の程度」(調査3)の変容とテスト成績の変容との関係を学級系金で表したものである。
思考活動が活発になった生徒ほどテスト成績の伸びが大きくなる傾向が見られる(相関係数0.42)。
(6)探究活動の過程で行った方策についての評価
事後に,探究活動の過程で行った具体的方策についての生徒の評価を調べた(図10)