研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -074/166page
図10 具体的方策に対する評価
「A計画案の作成」「Bレポートの作成」「C発表会」の活動は,次ぎの1〜3のことを行う上でそれぞれどの程度役立ちましたか。
5 ;大変役立つ 4:役立つ 3:少し役立つ
2:あまり役立たない 1:役立たないA B C 1 課題を把握する。 ( )( )( ) 2 解決方法を検討する。 ( )( )( ) 3 「酵素」について考える。 ( )( )( )図は,その結果を学級平均で表したものである。
生徒は,上記の3つの具体的方策が,「課題の把握」「解決方法の検討」「酵素についての考察」をするうえで効果があったと評価している。計画案の作成は解決方法を考えるうえでより効果的であり,レポートの作成と発表会は酵素についての考察を深めるうえでより効果的であることがわかった。
このことから,生徒は探究の過程で行ったこれらの方策を有効に取り入れ,自分が立てた仮説を検証し,課題を解決していったことがわかる。
(7)生徒の感想
・ただ仮説を検証するだけではなく,反応速度を 速めるためには,基質の量や触媒の量を増やせば よいこと,温度が関係することなどがわかりよか った。
・自分たちで問題を見つけて,それを解決していくような実験をどんどんしていきたい。
・酵素活性の最適温度までは調べる余裕がなかったのは残念だったけど,予備実験の時より酵素に関しての興味が高くなり,もっともっと追究してみたいと思った。
・予想よりも実験の数値が違ってしまったが,他はスムーズにできた。
・グラフの横軸が他の班と違い心配したが正しいことが言えたのでよかった。
予備実験よりも本実験のほうが余裕をもって進めることができよかった。
・各班の発表を聞いて,酵素に対する関心を高めることができたし,知識も深まった。
4 まとめ
生徒主体の学習により,教師に対する生徒の支 援要求傾向は低くなり,自力で解決しようとする 意識が高まった。―方では,教師に対し,なんで も質問できるような授業を望んでいる。
(2)―連の探究活動によって,「解決方法を考える」 「方法を工夫する」「考えをまとめて発表する」 などにかかわる思考活動が特に活発化した。
(3)思考活動が活発になるほど,テスト成績が高く なる傾向があることがわかった。