研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -083/166page
このことから,蛍光灯の仕組みや働きを理解するには,操作教材である蛍光灯回路展開板だけを活用するのではなく,操作教材を使いながら思考活動を活発にするように工夫した学習プリントを活用することが,より有効であることがわかった。
(4)関心・意欲と思考活動との関係,思考活動と事 後テスト成績との関係
図5は,関心・意欲の程度と思考活動の程度との関係,図6は,思考活動の程度と事後テスト成績との関係をそれぞれ示したものである。
関心・意欲の程度と思考活動の程度との間には強い相関(相関係数0.71),思考活動の程度と事後テスト成績との間にはかなりの相関(相関係数0.44)がみられた。
これらのことから,関心・意欲を高めることは,思考活動を活発にし事後テスト成績とも関連が深いことがわかった。
(5)「思考活動の程度」
図7「思考活動の程度」(調査3)の各項目ごとの学級平均の事前・事後の変容を示したものである。
事後,「課題を把握する」「結果を予想する」「結果を予想と関連づける」「自分で考え解決する」という活動の変容が人きく,各段階の思考活動が活発に行われたことがわかった。これほ,思考が働く場面を段階的にとらえ,指導過程に位置付けたことによるものと考えられる。
(6)思考活動に対する生徒の受け止め方の変容
図8は,思考活動に対する生徒の受け止め方を,事前・事後に5段階の自己評価で調べ,その各項目(学級平均)の変容を示したものである。
「考えて問題を解決できた時は,うれしい」「深く考えることは,学習に役たつ」という項目は事前・事後とも高く,「先生が援助してくれれば深く考えるようになる」という項目が大きく変容したことがわかった。