研究紀要第114号 「豊かな人間関係を育む指導援助に関する研究 第1年次」 -117/166page

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(全学年)

(資料6)から,全学年の分析・考察を行った。

[全項目を通して]

「あてはまる」と「ややあてはまる」を合計し た割合でみると,7)を除いた全項目で5年生が最も高い割合を示し,次いで3年生,2年生の順になっている。

このような結果になった理由としては,児童生徒の級友への関心が,3年生では,遊びの仲間を中心とした小グループに向く傾向があり,5年生では学級全体を強く意識する傾向が強まり,2年生になると友達を選ぶようになり,学級全体の級友より特定の級友に同きがちになってくることや,自分自身を見つめる目が厳しくなってきていることが考えられる。

[他者にかかわろうとする思い](3,4,5)

他者にかかわろうとする思いの項目では,「あ てはまる」と「ややあてはまる」の合計の割合で,4)「みんなと―緒に活動したい」,5) 「みんなのことを大切にしたい」が,3学年とも90%近い結果に対して,3)「みんなのことを知りたい」は80%前後の結果となっていることから,3つの思いの中でも「みんなのことを知りたい」という思いは,より能動的な思いであり,相手への関心の高さが関係しているものと考えられる。

また,「あてはまる」の回答では,3)が学年が進むにつれて低い割合となっている。これは知る内容が表面的な特徴や行動などから,好みや輿昧・関心,考え方や感じ方などの内面的なことへと推移し,とらえることが難しくなってきているためや,級友全体への関心が薄れ,特定の級友を求めようとしているためと考えられる。

[他者への思いを伝える技能](6,7,8)

他者への思いを伝える技能では,「あてはまる」, 「ややあてはまる」と肯定的に回答した児童生徒は,各学年とも70%前後いるものの,これらの半数以上は「ややあてはまる」である。このことから,各学年とも児童生徒の思いを伝える技能は,十分に高まっていない様子がうかがえる。したがって,指導援助にあたっては,このような児童生徒の存在を踏まえた取組が大切である。

(資料6)アンケートの集計結果(全学年)
(資料6)アンケートの集計結果(全学年)


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