研究紀要第114号 「豊かな人間関係を育む指導援助に関する研究 第1年次」 -119/166page

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知りたい」思いを持っている割合が高いことがわかる。

また,(資料9)は,調査項目2) (自己肯定感)の選択肢ごとに,7)「自分の気持ちや考えを話す」の回答の割合をグラフに表したものである。この結果から,自己肯定感が高い児童生徒ほど,「自分の気持ちや考えを話す」技能を持っている割合が高いことがわかる。

(資料9)自己肯定感と「話す」技能(小学校3年生)

(資料9)自己肯定感と「話す」技能(小学校3年生)

以上のことから,2)と3),2)と7)の関係がそれぞれ強いことがわかる。このことから,他者への関心が増し 自分の気持ちや考えを話すことができるようになるためには,自己肯定感を高めることが欠かせないことがわかった。

(資料8)から5年生と2年生では,3)の思いについて肯定的に答えた者のうち,約半数が「ややあてはまる」と答えていることから,このような児童生徒の存在を考慮した指導援助が必要である。

また,(資料9)から自己肯定感が「あてはまらない」と答えた児童生徒の中で,のの技能が「あてはまらない」と答えている児童生徒の割合が各学年とも高いことから,この技能を伸ばす指導援助にあたっては,自己肯定感の低い児童生徒への対応をエ夫する必要がある。

(思いと技能)

他者にかかわろうとする思いとその思いを伝え る技能は,関係が深いものと考えられることから,両者の関連について分析した。

(資料10)は,3年生において,3つの「思い」をそれぞれ肯定・否定に答えた児童の中で,3つの「技能」を肯定的に回答した割合を示したものである。この表から,3)を肯定的に答えた児童は,3つの「技能」を肯定的に答えた割合が,3)を否定的に答えた児童の割合よりもそれぞれ約40ポイント以上高いことがわかる。このことは,4),5)についても同じ傾向にある。

このような傾向は,5年生,2年生においても同様の結果であった。

(資料10)

思いごとの技能肯定の割合(小学校3年生)

質問の項目

6)技能1
(聞く)

7)技能2
(話す)

8)技能3
(接する)

3)思い1
(知る)

肯定的

87.3

77.1

84.3

否定的

39.1

32.6

45.7

4)思い2
(一緒)

肯定的

79.0

71.5

79.0

否定的

41.7

0.0

25.0

5)思い3
(大切)

肯定的

80.2

70.6

79.2

否定的

33.3

26.7

33.3

このことから,「思い」と「技能」は密接 な関係があって切り離せないものであり,「技 能」を高めるためには,「技能」とともに,「思い」を高 める指導援助が欠かせないことがわかる。

V 研究の成果とまとめ

本年度は,人間関係をつくる方を分析し児童生徒の発達段階を考慮しながら基本的な指導援助の方向性を探った。また,児童生徒の人間関係をつくるカの実態を把握し,指導援助の在り方を探るためにアンケート調査を実施し.その結果の分析・考察をおこなった。


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