研究紀要第120号 「豊かな人間関係を育む指導援助に関する研究 第2年次」 -094/117page

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ョン)できないことが対人関係を築けない一つの要因となっている。こうした状況を改善するには,聞く,話す,接するといった人間関係に必要な基本的技能を身に付けなけれぱならないと考える。ここでの技能は.相手の気持ちを肯定的に受け止める聞き方・話し方であり,肯定的な感情交流がつくられるものである。

WHO(世界保健機関)は,今日的健康教育の展開の主軸としてライフ・スキル教育を提唱している。これは,日常生活で遭遇する諸問題に有効に対処できることを目標とし,心理学,行動科学の領域で研究が進んでいる“Social Skill”の技法を取り入れている。

このライフ・スキルは,積極的スキルを自己実現スキルに,通応的スキルを共生スキルに活かし,(資料4)のように構造化 注2) できる。

本研究では,人間関係を促進する内容に焦点を当て,上記のライフ・スキルを「人間関係スキル」として考えていく。

(資料4)ライフ・スキルの構造化
(資料4)ライフ・スキルの構造化

4 情意と技能の相互作用

1年次には,人間関係をつくる力やその実態を,理論研究や児童生徒への調査を通して分析した結果,自己肯定感が高い(「あてはまる」「大体あてはまる」)児童生徒はど,他者とかかわりたい思いが強いという傾向が確認された(資料5)。また,自己肯定感が高い児童生徒ほど,聞く・話す・思いを伝えるといった技能が高いことも明らかになった。

この結果は,人間関係をつくる力を育成する上での,情意面と技能面との相互作用を示すものと考える。

以上のことから,人間関係をつくる力を育成するためには,

 ◇ 安心感,自己肯定感を高める指導援助が必要である。

 ◇ 他者とのかかわりを深めたいという思いと,その思いを伝えるための技能を高める指導授助が必要である。

(資料5)「自己肯定感」とかかわりたい「思い」 〔小学5年〕
(資料5)「自己肯定感」とかかわりたい「思い」


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