研究紀要第120号 「豊かな人間関係を育む指導援助に関する研究 第2年次」 -095/117page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

III 研究の見通し

1 研究の仮説

学級活動の時間を中心に,自己肯定感や他者とのかかわりを深めたいという思い,思いを伝える技能を高めれば,人間関係をつくる力が高まり,豊かな人間関係が育まれるであろう。

2 指導援助の基本的な考え

学級の中での安心感は,感情を素直に表現させたり,他者とかかわろうとする気持ちを高めたりする。また,肯定的な感情交流は,安心感や受容感をもたらし,他者とのかかわりを深めたいという能動的な思いを高めていく。さらに,人間の行動は,他者からの評価や自己認知による快・不快の感情や利益・不利益の理解などによって規定されることから,感情や行動に対する振り返りや他者からの評価によって,行動化や行動選択の促進が図られるといえる。したがって,指導援助の基本は,肯定的な感情の表出,交流を促進しながら,児童生徒に,快・不快,利益・不利益などに“気づかせる”アプローチ(振り返りの場の重視)となる。それが,自らの態度,行動を変容させていくことになると考える。

指導援助の場は.学校生活をおくる上で最も基本的で,心の交流が図りやすい学級を単位として展開される学級活動の場が望ましいと考える。

3 本研究でめざす児童生徒の姿

【小学校】

1. 自己を肯定的にとらえ,自分のありのままを表現できる児童

2. 安心感や信頼感をもち,共に活動したいと思う児童

3. 友達のよさや違いを肯定的にとらえ,良好な友人関係を築ける児童

【中学校】

1. 自己を肯定的にとらえ,自分のよさを積極的に表現できる生徒

2. 安心感や信頼感をもち,級友をもっと大切にしたいと思う生徒

3. 友達のよさや達いを肯定的にとらえ,対人関係を結んだり,友人間のトラプルなどを通切に処理できる生徒

IV 研究計画

【1年次】

1 研究主題,研究計画の樹立

2 人間関係をつくる力の分析と基本的な指導援助の方向性の構築

3 児童生徒の人間関係をつくる力に関する実態調査用紙の作成とその実施

4 児童生徒の人間関係をつくる力に関する実態調査集計と分析・考察

5 1年次研究のまとめ

【2年次】(本年度)

1 1年次研究の成果と課題の確認

2 指導援助の在り方の検討

3 研究協力校における人間関係をつくる力に関する事前調査

4 研究協力校における指導援助の実践

 (1) 自己肯定感を高める指導援助

 (2) 他者とのかかわりを深めたいという思いが高まる指導援助

5 研究協力校における人間関係をつくる力に関する事後調査

6 実践の成果と課題の分析

7 2年次研究のまとめ

【3年次】

1 2年次研究の成果と課題の確認

2 指導援助の在り方の検討

3 研究協力校における人間関係をつくる力に関する事前調査

4 研究協力校における指導援助の実践

 (1) 自己肯定感を高める指導援助

 (2) 思いを伝える技能が高まる指導援助


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。