研究紀要第120号 「豊かな人間関係を育む指導援助に関する研究 第2年次」 -099/117page
になった。
グループ同士の発表では,「〜のような意見がありましたが,僕は…だからです。」というような発表がなされていた。
3. 他者の存在や理解を明確化するシェアリング(個,全体)
振り返り用紙に記入したことを発表する中には,
◇ みんな,いろいろな意見を出して楽しかった。
◇ みんなでこの教室で同じように生活していても,心が違うということがわかりました。
等の意見が出され,自分の考えを述べたり,友達の意見を聞いたりする中で,他者理解がなされていったと思われる。
<結果の考察>
振り返りカードの自由記述の内容をねらいに沿って類型化し,数値化すると,80%の児童が他者の存在を感じ取っていたことがわかる。これは,ゲーム内での選択肢を児童の実態に合わせ,自己決定がスムーズにできるようにしたことや,好きなわけを尋ね合うグループ内,グループ同士の発表の場を設定したことにより,“自分は”という意識が高まり,それが他者への意識の高まりにつながっていったためと考える。しかし,他者理解の深まりというねらいの達成は,約70%という結果になった。その要因として,グループ内,グループ同士での話し合いの形態や方法が実態に合っていなかったため,肯定的な感情交流が十分に促進されなかったことが考えられる。
授業2 自己理解,他者理解が促進される授業 1. 「後出しジャンケン」を取り入れたウォーミングアッブ(全体)
いくつかのゲームを日常指導の中で実施し,本時では,その中の「後出しジャンケン」を取り入れた結果,共通の活動の中で安心感がもて,生き生きと楽しく取り組む姿が見られた。
2. 肯定的な自己理解,他者理解が深まる「私は誰でしょうゲーム」(小班)
「よいところイメージカード」に書かれた内容から,誰のことなのかを予想するゲームである。
授業1での反省を生かし,児童主体の活動の中で肯定的な感情の交流が図られるよう,以下の援助を行った。
◇ 児童一人一人が,学級全員の友達のよさを記したものに教師が補足を加え,各自のよさを3点に絞って「よいところイメージカード」(資料10)にまとめる。
◇ 教師の説明を通して,「私は誰でしょうゲーム」の内容・方法を具体的に理解させる。
その結果,下記に示すような活動を意欲的に進めることができた。
【視点児童M男の班での活動の様子】 C1;「イメージカード」に書かれた内容を読み上げる。 1. この人は,おそうじのとき,みんながいやがる机はこびの仕事を進んでやってくれます。 2. この人は,係の仕事を,責任を持っていっしょうけんめいがんばります。 3. この人は,こまっている人に消しゴムやじょうぎをかしてくれるやさしい人です。 C2〜6;班の中の誰かを予想して名前を記入する。 ※2〜6の児童が順番に問題を出す人となって繰り返す(M男も2〜6の一員)。