研究紀要第120号 「豊かな人間関係を育む指導援助に関する研究 第2年次」 -101/117page

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想し合う活動が肯定的な感情交流を促進させるとともに,シェアリングで自己の内面と向きあわせる活動が効果的であったと考えられる。また,「もっと友達のよいところを見つけたい」など,友達とかかわりたいという子どもたちの思い(志向性)の高まりもうかがえた(資料12)。

(資料12)振り返りカードに見る各項目の割合
(資料12)振り返りカードに見る各項目の割合

授業後には,この活動で得られた肯定的な自己理解や他者理解を強化したり,保護者へ広めたりするねらいで,学級通信(資料13)の発行を行った。

(資料13)学級通信
(資料13)学級通信

(3) 実践の考察

1. 学級への指導援助の内容との関連から

指導援助の内容との関連について,4件法の平均値で見ると,自己表出に0.3,肯定的自己理解に0.2,肯定的他者受容に0.2ポイントの上昇が見られた。

他者からの肯定的な働きかけを多く得られるように設定した活動を通して自己理解が深まり,他者の意見を多く聞ける活動を通して他者理解が深まり,その結果,肯定的に他者を受容しようとする気持ちも高まったと考えられる。さらに,肯定的自己理解の項目を,「あてはまる」児童の割合で見ると15.1%の上昇が見られた。よさの自己受容数が35.7%増加し,欠点の自己受容数が25.0%滅少したことと関連が深いと考える。また,学級の雰囲気をとらえる項目では,「よい」ととらえた数が,一人平均1.3個から2.0個となり,53.8%の増加を示している(資料14)。記述内容においても「元気よくのびのび」「みんなやさしい」「何でも話せる」など,肯定的な内容が増えている。さらに,振り返りカードからは,互いの理解が深まり,友達に受け入れられているという気持ちが高まってきた様子がうかがえた。

(資料14)肯定的自己理解の高まりとの関連

(資料14)肯定的自己理解の高まりとの関連

2. めざす児童の姿から

ア 「自己を肯定的にとらえ,自分のありのままを表現できる児童」から事後調査から,調査項目1〜5の平均でとらえた自己肯定感の0.2ポィントの上昇とともに,自己表出にも0.3ポイントの上昇が見られた。よさの自己受容数が学級平均で0.5個増加したことや,「自分なりの精一杯で努力する」というように,他者との比較による優劣からではなく,自己のよさに目を向け,


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