研究紀要第120号 「豊かな人間関係を育む指導援助に関する研究 第2年次」 -104/117page
<結果の考察>
よさを伝え合う「いいとこさがし」の活動を通して,自他のよさを身近に感じたり,新しく発見したりすることができた。教師によるデモンストレーションやシンキングタイムの設定は,児童たちの緊張感を和らげると共に,その後の活動に対する心の準備となり,肯定的な感情交流を図る上で効果的であった。一言感想や全体発表によるシェアリングでは,他者からの肯定的な評価に対する喜びを表現する児童が多く見受けられた。
肯定的な働きかけが,互いのよさを伝え合うという直接的な働きかけのため,恥ずかしさや照れくささを感じる児童も見られた。しかし,肯定的な他者理解・他者受容に基づいた肯定的な働きかけを相互に行うことにより,他者理解が促進され,そのことが新たに自己のよさへの気づきにつながっていくことが確かめられた。
授業2 他者のよさを取り入れる活動を通して他者理解,他者受容の高まりをめざした授業 1. 「パッチンジャンケン」「質問ジャンケン」を取り入れたウォーミングアップ
声と動きを合わせリズムよく行うパッチンジャンケンは,日常的に行っている活動の一つであり,うちとけた雰囲気づくりに効果的であった。質間ジャンケンは,勝った者が「もしも〜が起こったらどうするか」と質問するという条件のもとに行ったことで,友達の意外な答えに驚いたり感心したりする姿が多く見られ,次の「無人島SOS」の活動にスムーズに入ることができた。
2. 肯定的な他者理解,他者受容を促進する「無人島SOS」
無人島に漂着したという設定のもと,生き延ぴたり脱出したりするために必要な品物を選ぶという活動を,個人(シンキングタイム)→グループ(発表とメモ,質問)→個人(取り入れ,決定)→グループ(個々の最終決定の発表)→全体(発表)という流れで行った。